契約シンデレラ
人は皆それぞれの運命を背負っている。
それは、圭史さんも私も一緒だ。
ただ、圭史さんの場合は人よりも重たくて、多くのものを抱えているのかもしれない。

「体、大丈夫か？」
「え、ええ」

朝になり、ベッドの中で声をかけられて動揺した。
こんなに至近距離で男性と過ごしたことはないし、ましてや体を重ねた経験もなくてどんな顔をしたらいいのかがわからない。

「できることならずっとこうしていたいんだが、そうも言ってはいられないな」

すぐ隣に眠る私を抱きしめながら、圭史さんが残念そう。

「もう起きないと遅刻しますね」

時刻はすでに朝の７時を回っている。
いつもなら出勤準備をして朝食を食べている時間なのだが、今日はかなり寝不足の状態。
なにしろ朝方まで起きていたんだからしかたがない。

「もう一時間だけ眠ったら起きようか？」
「いいんですか？」
「ああ、会社には俺が連絡を入れておく」
「わかりました、お願いします」

さすがにまだ体がだるくて起きられそうにない。
もう一時間でも横になれれば私もうれしい。
ただ、圭史さんが何と言って連絡を入れるのかと想像すると、ちょっと怖いな。
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