契約シンデレラ
二度寝をして仮眠をとりその後熱いシャワーを浴びると、すっきりと目覚めることができた。
トーストと卵と冷蔵庫の残り物で作った野菜炒めをおかずに朝食をとり、１０時過ぎに２人で出社した。

「おはようございます、社長」

社に着くとすぐに秘書課の男性スタッフがやって来た。
彼は森山課長の部下で、課長のいない今秘書課の課長代理をしている人だ。

「おはよう、遅くなってすまない」
「いえ、連絡をいただいたので調整しておきました。ただ・・・」
「ただ？」

困ったように言葉を止めたのを見て、圭史さんの足が止まった。

「今日の昼にお目にかかりたいと、山口社長から連絡がありました」
「・・・そうか」

山口社長とは咲奈さんのお父様。
今誰よりも圭史さんの力になってくださっている方だ。
そして、咲奈さんから昨夜のことも聞いているはずで、何を言われるのだろうと想像すると、恐ろしい気もする。

「星野君も同席してほしいとのことですが？」
「いや、彼女は」
「わかりました、同席いたします」

圭史さんが断ってくれようとしたところを、私が遮った。

「いいのか？」
「ええ」

何を言われても、圭史さんを信じようと私は決めた。
だから、もう逃げださない。
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