契約シンデレラ
正午を回り、昼食を兼ねた山口社長との面談に指定されたのは都内のレストラン。
そこは山口社長行きつけらしく、洋館をリフォームした造りのゆったりしたスペースだった。
「わざわざすまないね」
車から降りると、社長自らが出迎えてくれた。
「お待たせしてすみません」
「いや、私も今来たところだ。ところでこちらが噂の秘書さんだね?」
「初めして星野晶と申します」
私は初対面の山口社長に頭を下げた。
「咲奈が随分困らせたようだね、申し訳ない」
「いえ、そんなことはありません」
穏やかに話す山口社長に怒りの色は見受けられない。
ビジネスマンというよりもオシャレでダンディーなおじ様って印象の方だ。
「とにかく食事にしよう。ここはうちの会社が出資しているレストランでね、味も雰囲気も最高だから」
「はい、ありがとうございます」
頭を下げる圭史さんの横で、私はぐるりとエントランスを見渡す。
確かにクラシカルな調度と温かみのある照明、木目の床も雰囲気があるし、飾られている絵画も美しくて・・・・えっ。
私はロビーの壁に飾られた絵画を見て、固まった。
「ほう、星野さんは絵がわかるようだね。この絵、いいだろう。日本人画家の作品なんだが、なかなか世に出回らなくてファンの間では幻の作品と言われているんだ」
「幻・・・ですか」
一見どこにでもある風景がだが、その色遣いとタッチの繊細さで独特の雰囲気を醸し出している。ある種幻想的な雰囲気を持った絵画だ。
「表に出てくることを嫌う画家でね、なかなか売りにも出さない。だから幻なんだ」
「それは・・・」
「それは貴重な作品ですね。では参りましょうか」
私の様子がおかしいことに気が付いて、圭史さんが助け舟を出してくれた。
そこは山口社長行きつけらしく、洋館をリフォームした造りのゆったりしたスペースだった。
「わざわざすまないね」
車から降りると、社長自らが出迎えてくれた。
「お待たせしてすみません」
「いや、私も今来たところだ。ところでこちらが噂の秘書さんだね?」
「初めして星野晶と申します」
私は初対面の山口社長に頭を下げた。
「咲奈が随分困らせたようだね、申し訳ない」
「いえ、そんなことはありません」
穏やかに話す山口社長に怒りの色は見受けられない。
ビジネスマンというよりもオシャレでダンディーなおじ様って印象の方だ。
「とにかく食事にしよう。ここはうちの会社が出資しているレストランでね、味も雰囲気も最高だから」
「はい、ありがとうございます」
頭を下げる圭史さんの横で、私はぐるりとエントランスを見渡す。
確かにクラシカルな調度と温かみのある照明、木目の床も雰囲気があるし、飾られている絵画も美しくて・・・・えっ。
私はロビーの壁に飾られた絵画を見て、固まった。
「ほう、星野さんは絵がわかるようだね。この絵、いいだろう。日本人画家の作品なんだが、なかなか世に出回らなくてファンの間では幻の作品と言われているんだ」
「幻・・・ですか」
一見どこにでもある風景がだが、その色遣いとタッチの繊細さで独特の雰囲気を醸し出している。ある種幻想的な雰囲気を持った絵画だ。
「表に出てくることを嫌う画家でね、なかなか売りにも出さない。だから幻なんだ」
「それは・・・」
「それは貴重な作品ですね。では参りましょうか」
私の様子がおかしいことに気が付いて、圭史さんが助け舟を出してくれた。