契約シンデレラ
心配していた山口社長との会食は穏やかに行われた。
今回のことについても、咲奈さんが言うような思惑は最初からなかったようで、ビジネスライクに話が進んだ。

「私は圭史君をかっているんだ。だから今回のことでも力になろうと思った。ただ、それにはそれなりの見返りがなくては商売にならない。もちろん咲奈が言うように、結婚として身内になってくれるのなら別だが、それを強要するつもりもない。そこでいくつかの契約を結びたいんだ」

持ち出された行くいくつかの提案。
龍ヶ崎建設と山口物産がお互いにウインウインになるような内容ではあるが、この状況での提案である以上少なからず山口物産に有利なもののはずだ。

「わかりました」

一通り契約内容を確認し、圭史さんが頷いた。

「いいのかい?」
「ええ、この先龍ヶ崎建設が売り上げを伸ばせばいいだけの話です。問題ありません」
「じゃあ、よろしく頼むよ」
「よろしくお願いします」

圭史さんと山口社長は固い握手を交わし、会食は終わった。
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