契約シンデレラ

シンデレラと呼ばれています

数か月後。
色んな方の助力のお陰で、龍ヶ崎建設の危機は回避された。
すべてが解決後に堂々とカメラの前に立った圭史さんの潔い態度を誰もが称賛した。
このことをきっかけに龍ヶ崎建設と龍ヶ崎圭史の名前は一気に拡散され、毎日のようにネットで見かけるようになった。
私も初めは人ごとのように思っていたけれど、そのうちに圭史さんの恋人として私のことも出るようになり、他人事と笑ってはいられなくなった。
もちろん、圭史さんや圭史さんのお父様が守ってくださっているから、顔や実名が出ることはないが、『どこにでもいる普通の女の子が偶然マレーシアで出会い、大企業の御曹司のフィアンセになった』という記事はセンセーショナルに報道された。
おかげで、『現代版シンデレラ』なんてタイトルで特集を組む週刊誌さえ出てきた。

「ガラスの靴でも用意しようか?」
「もう、やめてください」
週刊誌の記事を広げて私をからかっている圭史さんに、私は唇を尖らせた。
< 210 / 218 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop