契約シンデレラ
「あら、まだ仕事をしているの?」

ノックもせずに社長室に入って来たのは、圭史さんのお母様。

「すみません、まだ仕事が残っていて」

午前中の来客が長引いてしまって気が付いたら正午を回っていた。
さすがにこの後の予定が詰まっている圭史さんには昼食を出したけれど、私はまだ後片付けの最中だった。
午後にはお母様との約束があり、急がなくてはと思っていたのだけれど・・・

「ヤダ、まだお昼も食べていないの?」
「ええ」

お昼とは言っても、最近食欲のない私はサンドイッチだけだけれど、それでも食べないわけにはいかない。

「いいわ、向こうで用意させるから行きましょう」
「いや、でも・・・」

お母様と買い物に行く約束をしていた私は、結局押し切られるように腕を引かれた。
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