契約シンデレラ
エピローグ
春4月。
私と圭史さんの結婚式当日。
「晶、とっても素敵なドレスね」
「うん、ありがとう」
式の後の食事会場で最初に声をかけてくれたのは理央だった。
圭史さんの龍ヶ崎建設の社長という立場から盛大な結婚披露宴が何度も予定されているものの、結婚式だけは身内でささやかにとお願いし実現した食事会。
私達のほかには、龍ヶ崎のご両親と私の父と、理央と真也さんだけのアットホームなもので、郊外の小さな教会に隣接するレストランで行われることとなった。
「晶さん、体に障るから無理をしてはダメよ」
「はい、お母様」
だいぶお腹が目立つようになった私の体をお母様はいつも心配してくださる。
「晶、幸せになるんだぞ」
「はい」
普段父らしいことなんて言わない父までが感慨深そうに目頭を押さえていた。
「そうだ、これはお前が嫁に行くときに渡そうと思っていたものだ」
そう言って父が取り出したのは一枚の絵画。
燦燦と降り注ぐ陽光の元、色とりどりの花が咲き、水面に戯れる女性と小さな女の子の後ろ姿。
「これって・・・私と母さん?」
「ああ」
その瞬間、私は涙が溢れた。
人にはそれぞれいろんな思いがあり、愛し方だって千差万別。
苦労した母を知っている分複雑な思いはあるものの、これが父の愛し方なのだと素直に感じられた。
「ありがとうございます。大切にします」
泣き出してしまった私に代わり、圭史さんが頭を下げた。
私と圭史さんの結婚式当日。
「晶、とっても素敵なドレスね」
「うん、ありがとう」
式の後の食事会場で最初に声をかけてくれたのは理央だった。
圭史さんの龍ヶ崎建設の社長という立場から盛大な結婚披露宴が何度も予定されているものの、結婚式だけは身内でささやかにとお願いし実現した食事会。
私達のほかには、龍ヶ崎のご両親と私の父と、理央と真也さんだけのアットホームなもので、郊外の小さな教会に隣接するレストランで行われることとなった。
「晶さん、体に障るから無理をしてはダメよ」
「はい、お母様」
だいぶお腹が目立つようになった私の体をお母様はいつも心配してくださる。
「晶、幸せになるんだぞ」
「はい」
普段父らしいことなんて言わない父までが感慨深そうに目頭を押さえていた。
「そうだ、これはお前が嫁に行くときに渡そうと思っていたものだ」
そう言って父が取り出したのは一枚の絵画。
燦燦と降り注ぐ陽光の元、色とりどりの花が咲き、水面に戯れる女性と小さな女の子の後ろ姿。
「これって・・・私と母さん?」
「ああ」
その瞬間、私は涙が溢れた。
人にはそれぞれいろんな思いがあり、愛し方だって千差万別。
苦労した母を知っている分複雑な思いはあるものの、これが父の愛し方なのだと素直に感じられた。
「ありがとうございます。大切にします」
泣き出してしまった私に代わり、圭史さんが頭を下げた。