契約シンデレラ
翌日、なけなしのお金でスマホを購入し連絡が欲しいと言われていた真也さんへ電話をした。
そしてその要件は、私に仕事を紹介したいというものだった。

「大丈夫、話は付けておくから」
「え、ええ・・・」

小さな頃から頭のよかった真也さんは奨学金をもらって医学部に進み、今は大学病院の内科医をしているが、同時にいくつかの企業の産業医も兼務しているらしく、そのうちの一つで求人が出ているからと私を推薦してくれたのだ。

「俺も時々顔を出すし、晶なら大丈夫だから。それに、しばらくは総務課に所属して慣れたら俺の補助業務にもついてほしいんだ」
「でも・・・」

正直、仕事を紹介してもらうのはうれしい。
真也さんが紹介してくれるからにはちゃんとした企業なのだろうとも思うけれど、真也さんの紹介だからこそ躊躇う気持ちにもなる。
だって、私は疫病神だから・・・

「とにかく話はしておくから、連絡してみてくれ。いいな?」
「・・・はい」

迷いはあるものの、結局真也さんに押し切られて電話を切った。
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