契約シンデレラ
真也さんが紹介してくれたのは日本でも有数の大手建設会社。
ここは確か一条コンツェルン傘下の企業のはずだ。
スタイリッシュで洗練されていて、それでいてシンプルで機能的な自社ビルの中を歩きながら、私はキョロキョロと辺りを見回した。

「それにしても立派な建物ね」

こんな大企業への就職を紹介してくれた真也さんには本当に申し訳ないけれど、やはり私には荷の重い就職先だった。
仕事に優劣をつけるつもりは無いし、生活していくためにはどんな事にもがむしゃらで向かうしかないと私にもわかっているのだが・・・

フッ。
なぜか突然、私は圭史さんを思い出しして口元が緩んだ。
「仕事をなめない方がいい。働いてお金をもらうからにはプロでなくていけないはずだ」それは圭史さんに言われた言葉。
確かに今の私には働くことに対する覚悟が足りないのかもしれないな。
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