契約シンデレラ
「ふーん、やっぱりあいつか」

一通り私の話を聞いた圭史さんは、なぜか不機嫌そうな顔になった。

「もしかして、知り合いですか?」

パーティーにも招待されていたし、大物の政治家の息子だって聞いたから、圭史さんと知り合いでも不思議ではない。
実は友達なんだと言われれば圭史さんに幻滅するけれど、上流階級のご子息同士お互いの顔くらいは知っているのかもしれない。

「まあ、素行の悪さでは有名だからな」

やはりそういう人だったのか。
圭史さんの言葉を聞いて、逃げだしてよかったと少しだけホッとした。
もしあのままパーティー会場に残っていれば、さらに悪い結果になっていたのかもしれない。

「何うれしそうな顔しているんだよ」
「え?」

いきなり投げかけられた苛立たし気な声に反応して顔を上げた。
どうやら圭史さんは怒っているらしいが、私には理由がわからない。
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