契約シンデレラ
「晶、帰っていたの？」

龍ヶ崎建設の面接から戻りスーツのまま座り込んでいた私に、外出から帰ってきた理央が驚いたような声を上げた。

「うん、面接はあっという間に終わったから」
「そうだったのね。お疲れ様」

私の反応と返事から面接がうまくいかなかったのだと理解した理央は、慰めるように私の肩を叩いた。

「うん、ありがとう。でも、採用になったの」
「え？」
口を開けたまま私を見る理央。

実は理央が帰ってくる少し前に龍ヶ崎建設の人事部長から電話があり採用が決まったのだ。

「じゃあ何でそんなうかない顔をしているのよ」
「うん、それなんだけれど・・・」

就職が決まったのにもかかわらず、落ち込んだままの私に何かがあったのだと理央も気が付いたらしい。
仕方ない、こうなったら理央には事情を話すしかなさそうだ。
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