契約シンデレラ
「おはようございます。本日からお世話になります星野晶と申しますが」

真也さんと別れた私は、龍ヶ崎建設の受付前で足を止めた。
ちょうど出勤時間とあって行き交う人もかなり多く気ぜわしそうではあるけれど、さすがに黙って入る訳にもいかず声をかけたのだ。

「星野さんですね、伺っております。エレベーターで5階に上がっていただくと人事課のオフィスがありますので、声をかけていただけますか?こちらからも連絡しておきますので」
「わかりました。ありがとうございます」

柔らかな笑顔で説明され、私はエレベーターに向かったのだが・・・
あれ、このエレベーターでいいのだろうか?
大きなビルだけにフロアも広く、エレベーターや階段がいくつもある。
人の流れに乗って向かった先にあるエレベーターは通路を少し回った壁際に4基ほど並んでいるものの、かなり混雑しているように見える。
それに対して一番近くにあったエレベーターは、フロアの中央にあり空いている。
私は迷うことなく空いているエレベータに向かった。
しかし・・・
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