契約シンデレラ
「いらっしゃいませ」
さっそくマネージャーらしき女性が現れる。

「彼女に、春物の服をお願いします」
「はい、かしこまりました」

はあー、やっぱり。
今朝の会話からそういう発想になるのかもしれないとは思ったけれど、まさか仕事を中断してとは・・・

「どのようなスタイルがお好みですか？」
「いえ、別に・・・」

同じ会話を少し前にもした気がするが・・・
大体、こんな高級店に入ったことのない私には好みも何もない。

「では、お似合いの物を見繕いますね」
「・・・」

不満がないと言えば嘘になる。
とてもじゃないけれど、高級ブランドショップで買い物ができる余裕が私にはない。
それでも、秘書として最低限の身だしなみをと言われれば断ることもできず黙ってしまった。
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