契約シンデレラ
「じゃあ話を整理するぞ。俺たちはマレーシアで知り合って親しくなり、日本に帰って偶然再会した親しい友人。それでいいか?」
「ええ。もし聞かれたら、私もそう答えます」

どうやら32歳の圭史さんには引っ切り無しにお見合いの話が来るようで、それを回避するためには特定のパートナーが必要らしい。
それを私に演じてほしいってことだ。

「でも、いつまでもってことでは困ります」

一時のことならごまかすことだってできるが、ずっとというわけにはいかない。

「そうだな、半年だけ頼む。今は大きなプロジェクトをいくつも抱えていて、母さんに煩わされたくないんだ。年内には大抵落ち着くはずだから半年間だけ頼む」
「半年ですか・・・」

長いなというのが正直な感想。
しかし、次に発せられた圭史さんの言葉で私の気持ちが変わった。

「月々の給料と同額を謝礼として払うが、どうだろう?」

ということは、収入が二倍。
それは、私にとってはありがたい。

「わかりました」

結局私はお金に目がくらんだ。
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