契約シンデレラ
里美さん達が言う通り、検診スケジュールを組む作業は予定よりも順調だった。
本当なら明日もう一日かけて作業するつもりだったのに、みんなで一時間ほど残業して今日中に全てを終わらせた。

「皆さん、遅くまでお疲れ様でした」
会議から戻ってきた真也さんが残業になってしまったことを労っている。

「いいんですよ。おかげで明日はお休みがいただけるんですから」
「そうですよ。その方が私たちは助かります」

パート勤務のため不定期に出勤する2人には、明日が休みになる方がうれしいらしく、仕事を終えると嬉しそうに帰り支度を始めている。

「晶も遅くまでありがとう」
「いいえ、私は何も」
ただ自分の仕事をしただけ。

「よかったら何か食べて帰るか?」
「え?」

まさか真也さんから食事に誘われるとは思っていなかった。

「何か予定があるのか?」
「そうではないけれど・・・」
「じゃあ行こう」

真也さんにしては珍しく、押し切られてしまった。
まあ今日は圭史さんも会食があって遅いはずだしと、このときの私は思っていた。
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