契約シンデレラ
「ありがとう、ここでいいわ」

圭史さんの住むマンション近くのコンビニ前で、私は真也さんにお礼を言った。
さすがにあの高級マンションを見れば真也さんだって心配になるだろうし、私も多少の後ろめたさを感じていた。
もちろん悪いことをしているつまりはない。
お金をもらって男の人のマンションに寝泊まりするなんてほめられたことではないけれど、自己責任の範囲内だとも思う。
ただ、心配してくれる真也さんを裏切っているようで、少しだけ心が痛んだ。

「私は買い物をして帰るから」

じゃあねと真也さんに手を振り、私はコンビニに入った。
朝食にはご飯でもパンでも出したものは何でもきれいに食べてくれる圭史さんのために、朝食用のパンを買って帰ろうと思ったのだ。
最近はコンビニのパンもすごくおいしくなっていて、特に米粉のパンを美味しいといてくれる圭史さんのために立ち寄ったのだが・・・

「おい」
不意にかけられた不機嫌そうな声。

「け、圭史さん」

顔を上げた先にあった顔があまりにも険しくて、言葉が止まった。
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