放課後の片想い
教室の扉を開けて、大きく息を吸う。


「お…おはよう!」

勇気を出してみた。


「おはよう前川さん!」
「前川おはよー」
「あれ?メイクしてる?すごい可愛いんだけどー♪」


クラスメイトの子たちの反応が怖かったけど、まさかの挨拶を返してくれてメイクにまで気づいてくれた。

「…ありがとう//」

途端に小声になる私。


「前川、おはよう」

「加藤くん!おはよう!」


また、いつもの日常が戻ってくる。
だけど今までと違うのは、みんなのおかげで一歩前に進めた事。

「夏休みの宿題、終わった?」

「最初の1週間で終わっちゃったの」

「マジ!?さすが前川」


ガララッ


「朝礼始めるぞー」

先生が入ってきた。


あれ?

「桜ちゃん来てない」

「あー…桜たぶん休みだわ。体調崩してるみたいで」

「そうなの!?」

知らなかった…大丈夫かな、桜ちゃん。


「えー、今日は笹井と成田が休みだな」

やっぱりお休みなんだ。



桜ちゃんに会えない学校。
すごくすごく寂しい。


「加藤くん…」

「ん?」

「桜ちゃんの具合とか知ってる?」

「熱は昨日完全に引いたらしいんだけど、今日はもう1日安静にするって言ってた」

そっか…


「帰りにお見舞いとか行ったら…やっぱり迷惑かな?」


加藤くんは少し考えて

「喜ぶよ、絶対。俺も行こうと思ってたし。一緒に行く?」

「わっ!ほんと!?行こう!!」


「前川ー!新学期早々うるさいぞー」

わぁぁぁ。
興奮して大声出しちゃった。


「すみません…」

横でクスクス笑ってる加藤くん。


「笑わないでよー…」

「ごめんごめん。前川相変わらず面白いな」


もし桜ちゃんがまだ辛そうだったら、差し入れだけ渡して帰ろう。

お母さん、お家にいらっしゃるかな?
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