放課後の片想い
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2学期にも慣れだした9月末のホームルーム。


「文化祭の出し物を決めたいと思います!」

クラス委員の女の子が代表で前で話している。

文化祭かぁ。
今まで気にしたことなかったな。


「去年は何やったん?」

「んー、俺のクラスはお化け屋敷したわ」

「そうなんや。日和は?」

「…覚えてない…」


本当に覚えてない。

私、きっと参加もしてない。
最悪な生徒。


「でも…今年は参加したい」


そう言うと、桜ちゃんも加藤くんもニコッと笑ってくれた。

「それでいいやん♪」

「良い思い出作ろか」


うん!!

「絶対作ろう!!」



何をするのかな。
わくわくする。

そういえば、鈴原くんのクラスは何するんだろう?
後で聞いてみようかな。





放課後。
今日は委員会の日。


「日和、加藤また明日ね」

「桜ちゃん、バイバイ」

同じ委員会の私と加藤くん。


ガラッ!!


「桜!俺と帰ろー♪」

そこへやってきたのは足立くん。


「なんでなん」

「悠も委員会だしさー。俺とどっか遊びに行こっか♡」

「行かへん」

桜ちゃんの断りはまったく無視でグイグイマイペースな足立くん。



「じゃ、またな加藤、日和ちゃん」


一緒に帰っていく2人。




「……桜!!」


廊下に響く大きな声。



振り向く桜ちゃん。

「夜、電話するから」


加藤くんの言葉に


「うん!待ってる!」

すっごく可愛い笑顔で答える桜ちゃん。



恋愛経験ほぼ皆無(鈴原くんだけ)の私でもわかる。




加藤くんは桜ちゃんが好きなんだ。

そして

きっと

桜ちゃんも加藤くんが好き。





【俺、桜好きなんだよね】


そこで頭をよぎる足立くんの言葉。




なんだか勝手に胸がざわついた。
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