放課後の片想い
後片付けを手伝って少し遅めのお昼ご飯。

出店で買ったクレープ。


「日和、早速デザート!?」

「甘いもの食べたくなっちゃって」


桜ちゃんと出店を回っていると


「むっちゃ綺麗だね!校内、案内してよ」

他校の男子かな?
2人の男子が声をかけてきた。


「無理です」

即答の桜ちゃん。


「なんでよー。お姉さん、名前は?」

さすが桜ちゃん。
やっぱりモテる。
そして、男子の質問を完全に無視。


「お姉さんも可愛いね。名前教えてよ」

もう1人の男子が私に声をかけてきた。


「えっ…」

「ほんまに無理やから。他あたってよ」

「関西弁じゃん。いいねー」

「人の話聞いてる!?」

ちょっとしつこい人たち。
どうしよう。


グイッ

腕を引っ張られて、私と桜ちゃんの身体が後ろに傾く。


「「わっ!!」」


「俺の彼女(もん)になんか用?」

鈴原くん!!

桜ちゃんの後ろには加藤くん。




「あっいや、なんもないです」

男子たちはそそくさと去っていった。



ドキドキドキドキ
なんだか漫画のような展開にドキドキが止まらない。


「お前らナンパされ過ぎ」

夏休みのこと言ってる!?



「桜、ケンカ腰は危ないから」

加藤くんは心配そう。


「助けてくれてありがとう!!」

まさかここで会えるなんて。


鈴原くんはホッとしたように私の頭をポンッとした。


「どうして鈴原くんと加藤くん一緒にいたの?」

「鈴原が借りたい物あったみたいでさ。そしたら桜たちが見えたから」


そうだったんだ。


「もうすぐ俺らのバンドやから来てな」

「もちろん!!」

「仕方ないから俺も行ったるわ」

「加藤呼んでないけど?」

「はぁー!!??」

2人のやり取りに笑っていると、桜ちゃんはなんだか俯いている。


「桜、彗も出るから来いよ」

桜ちゃんは顔を上げる。
気まずそうなちょっと切ない表情。


「彗、ちゃんとわかってるから。でも聞いてやってほしい」


加藤くんも鈴原くんのその言葉を聞いて桜ちゃんの頭を撫でる。


桜ちゃんは小さく頷いた。
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