放課後の片想い

動きだす気持ち

「落ち着いた?」

あれから何分経ったんだろう。


私が泣き止むまで抱きしめてくれていた足立くん。


抱きしめて…


「わぁ!!」

やっと冷静になった私。
急いで足立くんから離れる。


「わわわっ!!足立くん、ごめんなさい!!私こんな姿を見せてしまって…!!」


やばいやばい。
なんていう恥ずかしい姿を…!!


「はは!!」

足立くんが笑う。


「やっといつもの日和ちゃんになった。それでいいんじゃない?」


最低な私に優しい言葉をかけてくれる。


「何も最低とかじゃないよ。悠を好きってすごいわかるし。でもちゃんと言わないと悠には伝わらないで」



言葉にしないと…


「でも…嫌われるのが怖くて…」

口に出てしまった!


「わ!忘れてください…!」

どこまでも自己中な気持ちで恥ずかしい。



「なんか妬けるなぁー…」

「え…?」


「こんなに泣き腫らしてさ…俺にしたら?」


はい!?


「…えっと…足立くん…!?」


心臓がドクドクうるさい。



「はっ!ウソウソ♪ちょっとは元気でた?」

イタズラに笑う足立くん。
いつもの足立くんだ。


「〜〜!足立くんのバカ!!」


「バカでいいですよ〜。その代わり笑ってね」

でも、やっぱり優しい。


足立くんってこういう人。



「足立くん」

「ん?」

「ありがとうございます」


お礼が意外だったのか、少し驚いている。


「今度チョコパン奢って」

「あはは!喜んで!」


足立くんのおかげで心から笑えるようになった。

鈴原くんに素直に話してもいいのかなって思えるようになった。


そのお礼はチョコパンだけじゃ全然足りないぐらい。


「他にも奢らせてください!」


「他いらないから敬語やめてくれない?」


「…頑張ります」

「早速また敬語!」



気持ちがまとまったら逃げずにきちんと話そう。

鈴原くんに受け止めてもらえるかはわからないけど、伝えなくちゃだよね。
< 232 / 400 >

この作品をシェア

pagetop