放課後の片想い
図書館は思ったより人が少なかった。

のんびりできるし、なんだか嬉しい。



「あれ?1人できたの?」


後ろから声がして振り向くと


「足立くん!」

足立くんがいた。


「日和ちゃん、ここ図書館だよ?声でかいって」

そう言いながらクスクス笑っている。



「ごめんなさい…」

恥ずかしい。。

だって、足立くんがいてびっくりしたんだもん。



「悠は先帰ったもんな。桜たちも?」

「はい、そうなんです。なので図書館来たいなぁと思って」

「ふーん。偶然だな」

「本当に。足立くん、図書館好きなんですね」

「…そうだな。なんか無になれる気がしてさ」


【無】かぁ。


「わかります。私も同じ感じです」

なんだか同じ考えで嬉しくなった。



「本、選んでおいで」


あっ!本当だ!

「足立くん、立ち話長くなってごめんなさい。じゃあね」


足立くんもせっかく来てるのに立ち話に付き合わせちゃ悪いよね。



私は本棚の方へ向かった。



「日和ちゃん!」


静かな図書館に足立くんの声が響く。


振り向くと、足立くんは少し赤い顔で周りにペコっとしている。
大声出しちゃったから謝ってるんだ。


そして私の近くへやってきた。


「やべー。大声出しちゃった」


「…あはは!足立くん、面白いね」


照れてる足立くんが新鮮で、なんだか少し友達として近づけた気がした。



ポンッ


「笑うな」

私の頭を軽く叩く。
でも、全然痛くなくて照れ隠しなのがすぐわかっちゃう。
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