放課後の片想い
それから数日、俺たちはひと言も話さなかった。
こんな事は初めて。

我ながら子どもだなって思う。



これはいわゆる喧嘩ってものなのか?


正直、友達と喧嘩なんかした事ないからわからない。
それぐらい俺は今まで冷めてた。


悠に出会って、友達って良いなって思えるようになった。


そんな大事な親友に、今、俺はこんな事をしている。



俺たちがつるんでないからか、クラスの奴らもこそこそ何か言っている。

あーウザイ。



もう、最悪だ。





とある日の放課後。


悠は先に帰った。



さ、俺も帰るか。



ガラッ!!!!


「足立くん!!!!」


ドアの方から愛しい声が。



「日和ちゃん」


「ちょっとお時間ありますか!?」


珍しく大きな声の日和ちゃん。
そんな君も可愛い。


ここ数日昼飯の時も行かなかったから、やっと会えてすげー嬉しい。



「何?愛の告白?」

そんな気持ちを悟られないようにふざける。

俺の悪い癖。



「違いますが、お話があります」


前、日和ちゃんと会った広場に来た。



そこまでずっと黙ってる日和ちゃん。



俺の気持ち、やっぱさすがにわかったのかな?
鈍感でど天然だと思ってたけど、さすがにだよな。




「あのさ…」

「鈴原くんと何かありましたか?」


え?
悠??


「最近、なんだか様子がおかしいなと思って…鈴原くんに聞いても何もないって言うし…」


あー、だって【君の事】が原因だもんね。
本人に言えない。


まぁ、そんな原因を作ったのは俺だけど。



「厚かましいと思ったんですが……私でよかったら何か力になれますか!?」


深々と頭を下げる日和ちゃん。



「ちょっ…!!なんで日和ちゃんが頭下げてんの!?」


「鈴原くんと足立くんとの事なのに私が何か力だなんて…厚かまし過ぎるんで…!!」


あー、ほんと変わらないな日和ちゃんは。



「だけど…それでも何か力になれるなら、なりたいんです」



諦めようとも思ったけど、やっぱり無理だ。
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