放課後の片想い
「鈴原くん、遊びに行こうよ」

「無理」

「連絡先教えてー」

「無理」



同じクラスになってわかった事は、鈴原くんのモテ具合。
別のクラスだったから知らずにいれた事。
女子が鈴原くんの周りに群がっている。



「足立くん、鈴原くんが冷たいー」

「ねぇ、悠は冷たいよねー」

「足立くんは教えてくれるよね!?」

「俺も無理♪」


いや、足立くんも同じくモテてる。
鈴原くんよりは優しめだけど、キッパリ断っている。



「すごい群がりようやねー。日和、気にしんときや」

「うん、大丈夫だよ」

モテ具合に驚いてはいるけど、大丈夫。
鈴原くんを信じてるから。




ガタッ


鈴原くんが立ち上がってこっちにやってくる。


え、こっち?



グイッ

私の肩を抱き寄せ


「俺日和と付き合ってるから。日和以外興味ないんよ」


一瞬教室の中が静まり返る。


ひゃーっ!!!!
鈴原くんの言葉に顔が一気に赤くなっていくのがわかる。




「朝から惚気んな」


加藤くんの言葉で周りもざわつきを取り戻す。


「きゃー!いいなぁ前川さん!!」

「やっぱり付き合ってたんだー」

「ファンでいさせてね」

色んな声が聞こえてくる。



「鈴原ー!自惚れてるとこ悪いけど、安田が呼んでたぞー」

「マジで!めんどくせー。ちょっと行ってくるわ」

鈴原くんは職員室に向かった。




「あんな地味な子、どこがいいんだか」
「ほんと、キモイよね」

ぼそっと、でも確実に私に聞こえるように言ったであろう言葉。



「なんて…!!??」
「待って桜ちゃん!!」


私は大丈夫。


「もう大丈夫!去年の私じゃないから」


そう、私は強くなった。
と言うか、強くなるって決めたから。

こんな事で傷つかない。



ポンッ


「健気な日和ちゃん」

足立くんが私の頭を撫でてくれた。



「そんな事ないです」

「あのさ、いつまで敬語?」

「…来年?」

「あはは!卒業するじゃん!」


こうして大好きな友達が周りにいるだけで、強くなれる。


友達のパワーってすごいなって思う。


「もうここまできたら、一生敬語貫いたらええやん」

「ほんとに。前川らしいしさ」


「もう!桜ちゃんと加藤くんまでー!」



他の人の言葉なんて気にしない。
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