放課後の片想い


3年生になって1ヶ月ほど経った。


「もうすぐ中間やんか〜」

「桜ちゃん、一緒に勉強する?」

「いいのー!?」

帰る支度をしながら、桜ちゃんと勉強会の計画を立てる。


「日和、悪い。先帰るな」

「うん!また明日ね!練習頑張ってね」

「ありがとう!みんなもまたな」


鈴原くんは最近早く帰るのが増えた。
というか、ほぼ毎日学校が終わったらすぐ帰っている。

留学の為の練習だもん。
すごいなぁ。。
ただ、体調とか心配だなぁ。


「悠、忙しそうやね」

「うん。留学先の試験があるもんね」

「留学かぁ…悠がねぇ…」


今は応援したい気持ちが100%って胸張って言える。

もちろん寂しい気持ちはたくさんあるけど、前みたいな迷いや不安は全くない。



「夢に向かって頑張ってる鈴原くんの邪魔は絶対したくないの」

「邪魔?そんなのあるわけないやん」


何をしちゃったら邪魔になっちゃうんだろう。
最近はそんな考えが私を支配する。


「日和ちゃん、まーた勝手に悩んでる?」

「えっ!そんな事ないよ!」

「足立からも言ってやってよ。日和すぐ溜め込むから」

「桜のお願いなら♪」

「足立…ええ加減にしいや」


相変わらずな足立くんと桜ちゃんに笑っちゃう。
笑顔にしてくれてありがとう。



3人で下校する。

「加藤も忙しいな。今日もバイトだろ?」

「ほんまに。受験前はさすがにバイト休むって言ってたけど」



校門を出る時


「前川日和さん?」


私を呼ぶ声が聞こえた。




声のする方へ向くと、知らない女の子が立っていた。


見た事のない制服。
黒髪のロングヘアーの女の子。
第一印象はすごく目が大きくて可愛い子。
同い年ぐらい…?

この子が私を呼んだのかな?


「…えっと……私が前川日和ですが…」


私に近づいてくる女の子。


「いきなりごめんなさい。あたしは荒木真穂」

「荒木さん…。何かご用でしょうか?」


名前も聞いた事ない。
やっぱり知らない女の子だ。



なんだろう。
なんだかすごく緊張する。


「日和、知り合いちゃうよね?」

「俺が対応するし、2人とも先に行け」


「ありがとう。でも大丈夫だよ」

何の用なのか、私が何かしちゃったのか、何もわからないけど2人を巻き込むわけにはいかない。




「ちょっと付き合ってくれる?心配ならそこの2人も一緒にどうぞ」


そう言って荒木さんという女の子は歩き出した。


「はぁ!?なんか上から目線じゃない!?」

「桜ちゃん!声が大きいよ!」

「なんかムカつくけど、日和ちゃん心配だしついていこうっと」



桜ちゃんと足立くんはついてきてくれた。


「テスト前にごめんね。ありがとう」



黙々と歩いていく荒木さん。


15分ほど歩いた先にあるファミレスに入った。



向かい合って座る。



なんだろう。
このものすごい緊張感は。



なかなか喋り出さない荒木さん。



「あのさぁ、そっちから呼んだのに何か言ったら?」

痺れを切らしたのか、桜ちゃんはすでにお怒りモード。


荒木さんはチラッとこっちを見て

「あなたは…成田桜さん?思った通り野蛮やね」


「はぁ!?なんなん、いきなり!!」


野蛮!?
桜ちゃんが!?


「あの…!いきなり失礼じゃないですか!?しかも、桜ちゃんは野蛮なんかじゃありません!!」


すごく腹が立った。
大切な友達になんでこんな事を言うの!?


「桜ちゃんの事何も知らないのに勝手な事言わないでください!桜ちゃんに謝ってください!!」


許せない。

「日和…」


荒木さんはこっちをジッと見ている。
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