放課後の片想い
距離があるから何を話しているかはわからない。


昔から同じピアノ教室に通っている仲だもんね。
そりゃ仲良いよね。

自分に言い聞かせる。




そんな時、2人の顔が近づいた。


えっ…………




そのまま2人はキスをした。





見間違い?


ううん、そんな事ない





ゆっくりと2人の顔が離れる。




私、何してんるんだろ。


差し入れの袋を見て、自分の手が震えている事がわかった。




ダメ、これ以上ここにいたら。



震える足をなんとか動かして私は来た道を全速力で走った。






どれぐらい走ったんだろう。


走ったせいの鼓動の速さなのか、さっきの事での鼓動の速さなのか自分でもわからない。



不思議と涙は出ない。



なんだか帰る気分にもならなくて、私はあてもなく歩いた。






——————————————


ヴーッ

珍しい奴からの着信。



「もしもし?日向か?」

「はい!いきなりすみません、足立さん」


かなり焦った様子の日向。


「どうした?」

「日和と一緒とかじゃないですよね!?」

「一緒じゃないけど…何かあった!?」


日和!?

何かあったのか!?



「母さんから連絡あって、まだ帰ってこねーし連絡もつかねーみたいで!日和今までこんな事なかったから」

「鈴原さんに連絡したけどつながらなくて、足立さんにかけさせてもらいました!」


嘘だろ



「わかった!今から探すから心配すんな!おばさんにも伝えといて」


「ほんとにすみません!!ありがとうございます!!」



俺はすぐに家を出た。


時間は21時前。



悠と一緒か…とも思ったけど、一緒ならこんな時間まで連絡無しはありえねーはず。


心臓がものすごい速さで動いている。


日和、頼むから無事でいてくれ!!
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