放課後の片想い
足立くんに促されるまま、ひとまず出かける準備をした。


「どこに行くんですか?」

「んーまだ考えてない♪」


駅方面へ向かう。


「とりあえずさ、俺ん家に行っていい?」

「えっ?」

「着替えたいなぁと思って」

「もっもちろんです!!」


そうだよね。
着替えなきゃだよね。



「足立くん、疲れていませんか?」

「全然。結構寝たからスッキリ♪」




しばらくすると、大きなマンションが見えてきた。


「私、入り口で待ってます」

「家まで来たらいいじゃん。リビングで待っててよ」

「いえ、大丈夫です」

「いいからいいから♪」


引っ張られて結局家の中までお邪魔してしまった。



「ちょっと待ってて」

ジュースを出してくれた。
ほんとに優しいなぁ。



ヴーッ

待っている間にスマホが鳴った。
桜ちゃんからだ。



「もしもし」

「日和!?よかった!無事だった!!」

「え!?」

「悠から日和と連絡取れないって連絡きて焦ったわ」


ドクンッ


「…心配かけてごめんね」

「日和…何かあった?」

「えっと…」



桜ちゃんにまで心配かけてしまった。

鈴原くんに、何て話せばいいのかわからないのが正直な気持ち。


だから連絡出来ない。


でも、このままじゃだめだよね。


わかってるけど




「日和?大丈夫?」

「あのね桜ちゃん、実は…」

急にスマホが私の右手からなくなった。



「もしもーし。桜?」

気付けば足立くんが持っていた。



「ちょっと…!!」


しーっというポーズを取る足立くん。



「そうそう、俺ー♪」


桜ちゃん、何を言ってるんだろう。



「さすが桜だね」

足立くんの言葉しかわからない。



「じゃ、また連絡するー♪よろしくねー」

そのまま電話を切った足立くん。



「え!切っちゃったの!?」


スマホを私に返してくれた。


「桜わかったってー」

なにを!!??




「ゲーセンでも行かない?」

「わぁ!行ってみたいです!」

「行ったことないの?」

「はい」

「そうなんだ!じゃあ行こう♪」



ゲーセンかぁ。
ちょっと憧れではあった。



「俺も久々だわ」

「UFOキャッチャーやってみたいです!」

「はいはーい」



少しだけ。



少しだけ、現実逃避してもいいですか?
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