放課後の片想い
「日和お待たせー!」

桜ちゃんが帰ってきた。


「あれ!足立いたんだ」

「日直お疲れさん」

「あんたも来る?ケーキバイキング」

「甘ったるそうだな」

「足立くん、この前のお礼に私ご馳走します!」


足立くんはちょっと考えて

「行こっかな。日和は奢らなくていいからね」

来てくれる事になった。


「足立が奢ってよ♪」

「桜が出せよ」

「冷たい男やねー」


足立くんに何か少しでもお礼がしたいんだけどなぁ。




—————————————


「女子ばっかり」

「ケーキバイキングやからね」

「俺やっぱ帰るわ」

「いいから!行くよ!」


半強制的?に桜ちゃんに引っ張られて足立くんも入店。



席に進むと奥が少しざわついている。


なんだろう?

「なんか人集り出来てるやん。なんでやろ?」


3人で覗いてみると


「「「あっ!!!」」」

声が揃った。


真穂ちゃんがいた。

ひとりでケーキを何皿も食べている。


テーブルの上にはひとりで食べる量とは思えないぐらいのお皿とケーキが並んでいる。

人集りはこのせいだな。



「ちょっとあんた!!」

桜ちゃん!?


ケーキに夢中なのか近づく桜ちゃんに気づいていない様子。


バンッ!!

「あんたに言ってんのよ!食べるのちょっとやめなよ!」


フォークを持つ手の動きが止まった。


「あれ?桜ちゃん?」

「馴れ馴れしく呼ばないで」


モグモグと口を動かしている真穂ちゃん。


鈴原くんとキスしていた場面が蘇る。



「いきなり何?」

「あんた、この前悠に何した?」

「は?」

「何したって聞いてんの!」


完全に怒りモードの桜ちゃん。


私の為に怒ってくれている。
桜ちゃんを止めたいのに体が動かない。


「桜、落ち着けって」

そんな桜ちゃんを止めてくれたのは足立くん。


「周りが見てるから」

桜ちゃんは冷静さを取り戻したのか、わかったと小声で言った。



「あれ、足立くんもいるやん」

真穂ちゃんはケーキをまた食べだした。


「って事は…」

チラッと周りを見て私と目が合った。


「やっぱりいた」


ドクンドクン…
なんだか嫌な鼓動。



「せっかくケーキ楽しんでるのに何なの」

「あんたさ、日和に言う事ないの?」


「んー、足立くんには感謝されると思ってた」

「は…?」


真穂ちゃんは立ち上がって足立くんの耳元で何かを言った。

「あの子の事好きでしょ?悠くんと別れたらチャンスやん」



私には聞こえない。

だけど


「てめぇ…いい加減にしろよ」

足立くんがすごく怒ってる。
何を言ったの!?



「日和ちゃん」


いきなり呼ばれてビクッとした。


「あのキスは私が勝手にしたの。悠くんは驚いてたし、あの後あなたが好きだからってちゃんとフラれたわ」



ドクンドクンッ


「日和ちゃんは悠くんをちゃんと信じてあげれたかな?ちゃんと受け止めれたのかな?」


真穂ちゃんが私に近づく。

私は体が動かない。



「せっかく差し入れ買ってお見舞いに来てくれたのにごめんね」


ドクンッ!!!

今までで1番大きく鼓動が鳴った気がした。



差し入れ持ってって…もしかして私が向かってたのを知ってたの…?


「あのまま帰っちゃうとは思わなかった」


私がいたのを知っててどうして…


「悠くんをあなたの事なんかで悩ませないで。今、すごく大事な時なんだから」


あぁ。そっか。
真穂ちゃんは…


「悠くんの邪魔をしないで」



鈴原くんが好きなんだ。



真穂ちゃんはそのまま帰っていった。
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