放課後の片想い
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「来月の期末の後の修学旅行について決めたいと思いまーす!!」

修学旅行!!!
今までだったら楽しみなんか全くなく、逆に嫌なイベントだった。

だけど、今年は違う。


「日和!絶対同じグループになろうね!」

「うん!絶対!!」

楽しみで仕方がない。



チラッと窓際を見る。


鈴原くんとも同じグループになれたらいいなぁ…。


あぁ…私ってほんとに諦めが悪い。
自分からフッたくせに。




「まずはグループを決めたいと思います!」

グループはまさかの自由に決めて良い事になった。
人数は5人又は6人まで。


桜ちゃんとはすぐ決定!

「桜ちゃん、加藤くん誘いなよ♪」

「え!わかった…言ってみる!」


桜ちゃんは加藤くんの所へ向かった。


鈴原くんと足立くんは…もちろん一緒だよね。
周りに女子たちがいてもはや近づけない。



一緒に回りたかったなぁ。
鈴原くんと修学旅行…楽しみだったんだけどなぁ。。

別れたんだから一緒のグループになんかなれるわけないのに、いつまでも未練がましい私に嫌気がさす。



「日和!!」


大好きな声が聞こえた。


「俺と彗、そっちに混ぜて」


えっうそ………


「日和ちゃーん、聞いてますか〜?」

呆然としている私の前で手を振る足立くん。



「ふぁっ!はいっ!もちろんです!聞いてます!!」


「あはは!もちろんならよかった♪」


ぼそっ
「同じ部屋でもいいぐらい♪」

「何言ってんですか!!」


相変わらずだ。




「よーし、決まったな!」

なんとかグループ分けが決定し、加藤くんもいけて私たちは5人で決定した。



「むっちゃ楽しみやねー!」

「ほんとに。どこ周るとか考えなきゃね」


「桜、その前に期末があるからね」

加藤くんの言葉に一気に現実に戻される桜ちゃん。


「受験控えてるし、しっかりやらないとなぁ」

珍しく足立くんからも真面目な言葉が。


「まぁ、修学旅行を目標に頑張ろや」



今週に入ってから、鈴原くんとも少しずつ前みたいに話せるようになってきた。


お昼もまた5人で食べるようになったし。




《俺、日和に片想いしてるから》
《やっぱ諦めへんから》


みんなの前で言ってくれた鈴原くんの言葉が頭の中でリピートされる。


みんなから私を守る為に言ってくれたんだってわかってるけど、嬉しくなっちゃってる自分がやるせない。

結局私は、付き合う前も別れた後も守ってもらってばかりだ。


ピアノに集中して欲しくて、そして私も純粋に応援したくて別れを選んだのに揺れまくっている自分の気持ち。



足立くんにも甘えてばかりで、私何してるんだろう。
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