放課後の片想い

「いつになく…気合い入ってんね日和…」

「桜も見習いなよ」


私を見て桜ちゃんと加藤くんが喋っている。

そう、私の気合いは相当なのです。


修学旅行を思う存分楽しむ為に、この期末絶対良い点を取るんだ!!

それに、将来に向けてもしっかり考えたいしね。


何より、勉強に集中してたら他に何も考えなくて済むし。




「じゃ、また明日ね!」


「日和、ほんまに気合い入ってるなぁ〜…私も勉強する」

「良い心がけだね」


学校が終わってからすぐに図書館へ向かった。



なんだかすごく安心できるし、大好きな場所になった。
足立くんに感謝だな。




黙々と勉強していると

「ひゃっ」

右頬に冷たい物が当たった。



「足立くん!」

「頑張ってるね♪はい、差し入れ」


私の好きなアイスティー。

「ありがとう」


「俺もここ良い?」

「あっ!うん」


向かいの席に座って足立くんも勉強を始めた。



足立くんに告白をされてから、やっぱり少なからず意識をしてしまう。

足立くんの優しさに甘えちゃいけないんだ。



「足立くん」

「ん?」

「やっぱりこれ返します」

「え?いらなかった?」


そうじゃなくて…!!


「う、ううん!そうじゃなくて…」

「ならもらってよ」


いいのかな。。


「何か考えてるんだろうけど、俺はもらってくれた方が嬉しいから」


ニコッと優しく笑って、また勉強を始めた。



「ありがとう…」


梅雨に入り少しじめっとしてきた季節。

窓の外を見ると、ポツポツと雨が降ってきた。


雨音が響く静かな図書館。
今日はなんだか人が少なくて、2人きりでいるような空間。



「あのね」

足立くんが顔を上げた。


「アイスティー、ほんとにありがとう!返すとか言ってごめんね」


せっかくくれたのに私は失礼な言い方をしてしまった。
ちゃんと謝りたい。



「律儀な日和ちゃん♪」

いつも通り笑ってくれる。



私はペットボトルの蓋を開けてグイッと飲んだ。

「美味しい!!」




むにっ

いきなり頬をつねられた。



「あだひぐん!?」

スッと手を離して

「そんな可愛い顔して笑うの反則」


そう言ってまた勉強を始めた。
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