放課後の片想い

それからハーバーランドをバックに写真を撮ったり、ポートタワーにのぼったり、たくさん観光した。



「で、悠と足立とどうなん?」

「えっ急にどうしたの!?」


自由時間が終わってホテルに戻ってきた。


「どっち選ぶん〜?」

「なんでそうなるの!?」


部屋割りは私と桜ちゃんと安藤さんと川田さん(2人とも昨年と同じクラスメイト)

安藤さんたちは隣の部屋に行ってて、今は桜ちゃんと2人きり。



「足立と試しに付き合ってみるのもアリちゃう?って思うけど」


「……それ足立くんも言ってた」

「ウソ!まじで!!」


私がこんな話をするなんて…信じられない。
日々、以前の自分では信じられない事がたくさん更新されていく。


「私ね…足立くんにずっと甘えてばかりなの。卑怯だよね。自分でもズルいなって思う」


「甘える…ねぇ…」

「うん…」


足立くんの優しさに甘える。

足立くんが受け止めてくれるってわかってるから甘えてるんだよね、私は。

そんな自分がズルくて嫌になる。


「だけど、甘えちゃうんだよね…」


「それってさぁ、“甘え”なんかな?」

「え?」

「日和の言う“甘え”って何?」


えっと…

「すぐ泣いちゃったり、相談たくさんしたり、どこか遊びに連れて行ってもらったり、たくさん笑わせてくれたり……それに…」


「それに?」


「辛い時にいつもそばにいてくれるの」


そう。
私が鈴原くんを好きでも、そばにいてくれる。

私は足立くんの気持ちを知っているのに、それでも甘える。


「今こうして鈴原くんと足立くんと一緒にいれる関係が幸せなんじゃないかなって思ってる自分もいて…」

それが自己中心的過ぎて、自分の考えに引く。
だけど、これも素直な気持ち。


「桜ちゃん…引くよね?」

自分でも引くもん。



「いや、むしろ女子的にはそう思うのが普通じゃない?」

え?


「2人の男子から好かれるとか最高やん!夢やん!今を楽しまな損やで!!」


桜ちゃんの目がキラキラしている。


「まぁ相手が悠と足立って言うのはうーんって感じやけど、最高のシチュエーションやん♪」


「あの…」

そう言う意味じゃ……



「だからさ、そんな事気にせず素直になり。こうして私に話してくれたようにさ」


「桜ちゃん…」

いつも必ず味方になってくれる。



「まぁ…でもさ、足立も甘えちゃダメとか思わんと、もう少し真っ直ぐ見てあげたら?なんか見え方変わるかもやで」


見え方……



「…うん。そうだね」


なんだかすごく心が救われた。

素直な気持ちを言えて、なんだか心がスッとした。




日和…
辛い時にそばにいてくれるって気持ちは、足立を特別に想ってる証拠やで。

その気持ちに気づいてあげて。
< 323 / 339 >

この作品をシェア

pagetop