放課後の片想い

夜ご飯が終わって、ベランダに出て少しボーッとした。


修学旅行もあと明日1泊したら終わり。
早いなぁ。



「何やってんの?」

「足立くん」

「夜風が気持ちいいなぁと思って」

「ほんとだね」


それ以上は多く言わず、隣にそっといてくれる。


見え方が変わる…か。



「なに?」

「え!?」

「じっと見てる。なんか付いてる?」

「そっそんなんじゃないです!!」

「じゃあどんなんなの?」


あっ、足立くんの意地悪スイッチが入った。
表情を見ていたらわかる。



「何もないんです!!」

「なーんだ。残念」


足立くんとは鈴原くんより緊張せずに話せる。
色んな姿を見せてきちゃったからかな。


「鈴原くんは?」

「部屋で休むって」

「そっか」


今日はもう会えないのかなぁ。



「悠、日和の事好きって言ってるんだしさ、より戻したら?」


「急にどうしたんですか!?」

「悠の事好きって顔に書いてあるから」


うそっ!!??

私は思わず自分の顔をペタペタ触る。



「あはは!!書いてる訳ないじゃん!日和らしいな」


「もうー…!!」

私はプイッとして足立くんから離れようとした。



ガシッ

腕を掴まれた。


「ごめん。でもさ、表情には出てるよ。そんな日和見ると…妬ける」


急に真剣な表情。


ドクンッ



「足立くん…離してください」

「嫌だ」

「また意地悪する」

「意地悪じゃない。好きだって伝えてるだけ」


私の腕を掴む力が強くなる。



「足立くん、私は—・・・「前川ー!安藤が探してたぞー」


クラスメイトの男子の声でハッと我にかえる。


パッと手を離す足立くん。



「あっうん!すぐ行くね!」


私はホテルの中に戻ろうとした。



「足立くん!」

足立くんは振り返った私に少し驚いている様子。



「好きって言ってくれてありがとう!」


こんな私にずっと伝えてくれる。


「…はいはい。フラれ慣れてますから。早く行ってあげて」


ヒラヒラと振る手をよそに私は安藤さんの元へ向かった。




「あーあ……俺ってこんな諦め悪かったっけ…」



俺はあと何度フラれたら、日和を諦められるんだろう。
< 324 / 339 >

この作品をシェア

pagetop