放課後の片想い
「お腹いっぱいやなー」
「私も。桜ちゃん、デザート食べれる?」
「それは別腹♪」
「女子の胃は宇宙やな」
まじまじとこちらを見ながら言う鈴原くん。
なんだか急に恥ずかしくなってきた。
楽しい時間はあっという間で、夜になりお風呂の時間。
「私、化粧水とか部屋に忘れてもた!先戻るね!」
「はーい」
桜ちゃんは先に部屋に戻って、私は髪を乾かしてから遅れて大浴場を出た。
「日和も今上がり?」
「すっ鈴原くんも?」
お風呂上がりの鈴原くんに遭遇。
少し髪が濡れてる鈴原くんにドキドキしてしまう。
さらっ
「ちょっと髪濡れてる。ちゃんと乾かさな風邪ひくで」
私の髪に触れる指にさえ、ドキドキしてしまう私は重症だと思う。
「鈴原くんこそ髪濡れてるよ」
「俺は良いねん」
少し意地悪な、でもすごくかっこよくて優しい笑顔。
付き合ってた頃より色んな表情が見れるようになった気がする。
「明日はもう帰るんだね」
「そうやな」
昨日会った自販機でドリンクを買って一緒に飲むこの時間がずっと続いて欲しい…なんて、私だけだな、思ってるのは。
「今日も会う?」
「え?」
「昨日の夜中みたいに」
「う…うん!!会いたい!!!」
「……あはは!!日和声大きいから。バレちゃうで」
今日も良いの!?
嬉し過ぎて大声出しちゃった。
こんなにあなたに会える時間は、この先もうあんまり無いんじゃないかと思ってしまう。
きっとそうだと思う。
だからかな。
今は1秒でも多く会いたい。
「ちゃんと安田たちにバレへんように来てやー。あっ桜にも」
「桜ちゃんは難易度高いかなぁ」
ううん
それもあるけど、一番は
鈴原くんが好きで、ただ会いたくてたまらないだけなんだ。
それを、色んな理由をなんとか付けて納得してる自分がいる。
ズルい自分がいるんだ。
だけどね、神様
私は鈴原くんの夢を第一に応援したいんです。
応援します。
だから、今だけはこの幸せな時間を許してください。
私だけを見て欲しいんです。
自分の中にこんな強い独占欲があったなんて…
「あれ?日和顔赤いけど?のぼせたん?」
「わわ!何もないよ!!」
柱の影から見守る彗。
「俺もそろそろ…なぁ……」