放課後の片想い

それぞれの道


楽しかった修学旅行が終わり、あっという間に学校生活は受験モード。


「明日三者面談やなぁ」

「そうだね」


そう、明日は受験についての三者面談。
なんだかすでに緊張してる。


「私、絶対成績言われるわぁ〜」

桜ちゃんはうなだれている。



キーンコーン—・・・

終礼が鳴った。


今日は図書館寄って勉強しようかな。


「今日はよ帰らなあかんかったんやったー!日和、また明日ね!」

桜ちゃんは終礼が鳴り止まない内に教室を出た。


私は図書館へ向かった。




しばらく歩いていると、見覚えのある後ろ姿の3人。


「鈴原くん?」


前の3人がピタッと止まった。



「日和!なんでこっち方面におるん?桜は?」


なんだか少し慌てているような感じの鈴原くん。
足立くんや加藤くんもソワソワしてる…?


「図書館行こうと思って。桜ちゃんは用事あるみたいで先に帰ったよ」

「ほんまか。図書館は勉強しに?」

「うん」

「偉いなぁ」

そう言って私の頭を撫でる鈴原くん。


ダメだ。嬉し過ぎてにやけちゃう。



「おーい、悠。イチャついてる場合じゃないだろ」

「ばっ…!うっせ!!」


鈴原くんの顔が少し赤くなった。


「3人で帰ってるの?鈴原くん、練習は?」

「もう解散して帰って練習する所やったんよ」

「そっか。無理し過ぎないでね」

「ありがとう」


来月コンクールだもんね。



「引き止めちゃってごめんね。みんなバイバーイ」

「日和〜。俺も後で図書館行くね」

「はーい」


足立くん、後で来てくれるんだ。




—————————————


「なんでお前まで行くん?」

「別に俺の自由じゃん」

「行くな」

「無理。ってか早く帰って練習しろよ」



日和の事でギャーギャーモメる俺たちを静かに見ていた加藤が口を開いた。


「あのさ、俺の事覚えてる?」


「「あっ!ごめん!!」」


「ははっ!!お前ららしー!」



「悪い、俺そろそろ帰るわ」

「鈴原!話聞いてくれてありがとうな」


帰りかけた悠が立ち止まった。


「親友やねんから当たり前やろ。ちゃんと桜に話せよ」

「あっ!!あと、彗ちゃんと日和送って帰れよ!」
そう言って帰っていった。


言われなくても、もちろん送るよ。



「親友…か。俺がいいのかな」

「何言ってんの?とっくの前からそうだろ。俺たちは」


「……サンキュー」


男同士の友情ってやつ。

悠以外の男子に心開けたの、加藤が初めてだけどそれは秘密にしとこ。



「俺、後悔しないわ絶対」

「ならいいんじゃね?桜は絶対わかってくれるよ」

「あぁ」
< 335 / 342 >

この作品をシェア

pagetop