放課後の片想い

「ご馳走様でした」

「俺までありがとうございました」


あっという間に帰る時間。


「またいつでも来てちょうだいね」

「私外まで送ってくるね」

3人で玄関の外へ出た。



「一緒にご飯食べてくれてありがとう」

「なんで日和がお礼言うの?お礼言うのは俺たちだよ」


「楽しい時間をたくさんもらえたんで」



ぐしゃぐしゃ


「わっ!鈴原くん!?」


頭をぐしゃぐしゃとされ、髪がボサボサになった。



「早く寝ぇや」

「うん。鈴原くんもね」



「じゃーねー♪」


鈴原くんと足立くんは帰っていった。



——————————————


「あの笑顔は反則だねー♪」

「アホ。見るな。忘れろ。」

「無茶な事言うなよー」


練習をしていて、ふと時計を見たら19:45頃だった。

気付けば家を出ていて、日和の家へ向かって走っていた。


「愛だねー悠くん♡」

「は?」

「まさか“来る”とは思わなかったよ」

「うるさいわ…」


学校では逃げた。
日和の彗への気持ちを聞くと急に怖くなって、俺は逃げたんだ。


そんな自分が嫌だった。

【練習】を日和の心配事にしてしまっている。

俺の事なのに。



「負けたくなかったんだよ…」

「よく言うよ」

「…は?」

「悔しいけどさ。日和の目には悠が映ってるよ」

「何言って…」

「まぁ、俺も1ミリぐらいは映ってるかも!?って思える時もあるからこのままグイグイ頑張るけどねー♪」


コイツって…

「一回しか言わへんからな」

「なに?」


「彗は俺から見ても良い男だよ」


彗の目が見開いている。
そんなに俺の言葉が意外やったか?


「だからこそ、負けへんけどな」

「…あはは!悠らしー」


彗とこんな時間に歩くの、いつぶりだろう。


あー、楽しいな。

俺って変わってる?


「今俺との時間、楽しいとか思ってるでしょ?」

「は!?思ってるわけないやろ!アホか!!」

「きゃー♡当たってるじゃーん」


前言撤回。
ウザ過ぎる。


「俺も楽しいよ♡」

「黙れ」



1年後、俺たちは何に向かってるんだろうな。
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