放課後の片想い
4th piece
真夏のお泊まり
三者面談が終わった日の鈴原くんたちが帰ったあと、桜ちゃんから嬉しい連絡があった。
『加藤と付き合う事になったよ』
『わぁー!!!本当におめでとう!!!!』
嬉し過ぎて夜中まで喋り続けちゃった。
鈴原くんや足立くんにも翌日報告があり、みんなで祝福。
本当に自分の事のように嬉しかった。
そして、気づけば夏休み。
夏休みに入ってからは例年通り宿題に励み、1週間で終わってしまった。
受験に向けて本屋さんで買った参考書を読んで勉強しよう。
ふとよぎる、鈴原くんの事。
今頃、練習頑張ってるかなぁ。
あっコンクールの日まで、あと2週間ほど。
夏休みに入って以来、まだ連絡を取っていない。
邪魔をしたくない。
はっ!!!
気づけば3時間ほど経っていて13時を回っていた。
結構集中して勉強できたな…。
お昼ご飯でも食べようっと。
スマホを見ると不在着信が1件。
「足立くんからだ」
30分ほど前にかかってきていた。
急いでかけ直す。
プルルルルー…
出ないなぁ。何かあったかな?
諦めて切ろうとした時やっと繋がった。
「…もしもし」
「足立くん?ごめんなさい、電話気づかなくて」
なんだか、ちょっと声がおかしい?ような?
「ケホ…あれ?電話かけてた?ごめん、間違ってかけてしまってたかも…ゴホゴホ…‼︎」
「風邪!?大丈夫ですか!?」
「あー、大丈夫。昨日からおかしいなって思ってたら今朝からちょっと…ゴホッ」
「病院行きましたか!?ご飯は!?お母さんたちいる!?」
病人に質問攻めの私。
「ありがとう、大丈夫だよ。また連絡するね」
「足立くん…!」
電話は切れてしまった。
どうしよう…
あの様子だと、絶対ご両親いないよね。
心配過ぎる…
でも勝手には……
居ても立っても居られず、私はすぐに家を出た。
薬局に行って薬を買って、スーパーで買い物をして足立くんの家へやってきた。
マンションの入り口で立ちすくむ。
勢いで来ちゃったけど…やっぱり迷惑じゃないかな。
どうしよう…
電話の様子を思い出す。
ううん!
やっぱり心配!
迷惑だったら、買ってきたものだけ渡して帰ろう!
そう決意して、エントランスのインターホンを鳴らした。
確かこの部屋番号だったよね?
間違ってたらどうしよう…と押してから不安になりだす私。
しばらくしてから
「えっ…日和!?」
と足立くんの声が聞こえた。
よかった!合ってた!
「足立くん、急にごめんね。少しお邪魔していいですか?」
「どうしたんだよ…ゴホッ…とりあえず開けるな」
そう言って自動ドアを開けてくれた。
「ありがとう」
私は足立くんの部屋まで急いだ。