放課後の片想い
ガチャッ

「しんどいのにごめんなさい」

「なんで日和が謝るんだよ。わざわざ来てくれたの?」

いざ会うと、思ってたよりも顔色が悪くしんどそう。


「足立くん、横になってください。熱は測りましたか?」

「熱見ると余計しんどくなるから嫌」

「は?何子どもみたいな事言ってるんですか?早く測ってください」

「え…ゴホッ俺たち今もまだ子ども…」
「グダグダ言わずに早く測りなさい」
「はい!!」
日和、こえ〜〜!!!


なんとか足立くんをベッドに寝かせ、熱を測ってもらう。

ピピピッ

「見せてください」

足立くんは渋々私に体温計を渡す。


「わ!38.8分もあるじゃないですか!!病院行きましょう!?」

「大丈夫だよ。寝れば治るから…ゴホゴホ…」


全然言う事を聞かない、大きな子どもみたい。


「じゃあせめて、これ飲んで今は寝てください。キッチン勝手に借りていいですか?」


私はスポーツドリンクと薬を渡した。
本当はご飯を食べてから飲んでほしいけど、今はそれどころじゃない。
まずは熱を下げなきゃ。


「…うん。わかった」

弱々しく言う声に足が止まる。


「ちゃんと薬飲めますか?」

「わっ!バカ…そこまで子ども扱いするなよ」

「それならよかったです。ちゃんと寝てくださいね」


私はキッチンへ向かった。



ゴミ箱を見るとコンビニ弁当の空き容器がたくさん。
身体に悪いよ…


買ってきたものを冷蔵庫に入れ、溜まっている洗い物を片付ける。


洗濯は…勝手に触ったら嫌かな……。


雑炊を作っている間にリビングを軽く掃除。

チラッと部屋を覗くと、足立くんは眠っていた。


「すごい汗」

勝手に申し訳ないけど、洗面所の棚にあるタオルを取ってもう一度部屋に向かった。


起こさないようにそっと顔の汗を拭く。
汗をかいてきたって事は熱が下がってきたって事かな?



「ん…」

起こしちゃった!?


「ひ…より……?」

「ごめんなさい。起こしちゃいましたね」

「いや、自然に目が覚めただけ」


ゆっくりと起き上がる足立くん。


「まだ寝ててください」

「だいぶ楽になった。日和のおかげだな」

「薬のおかげですよ」

よかった。顔色が良くなっている。


「少し雑炊とか…食べれますか?」

「えっ!あるの?食いたい」

「持ってきますね」


私はキッチンへ行き、急いで雑炊を持っていく。



「熱いからゆっくり食べてください」

「わかってるよ。子ども扱いし過ぎ」

「大きな子どもです」

「うるさい」


そう言いながら、ふーふーっと冷まして食べてくれる。
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