放課後の片想い
夏祭り
足立くんと付き合う事になってから4日が経った。
足立くんとは毎日連絡を取っている。
ヴーッ
あっ、電話だ。
「もしもし」
「今いける?」
「はい、大丈夫です」
「いつまで敬語なの」
電話越しに笑ってる足立くん。
「体調はどうですか?」
「もうすっかり元気だよ。ありがとう」
「よかったです」
足立くんの風邪も無事治ったみたい。
「日和はうつってない?俺、風邪ひいてたのにキスしたりしちゃって…」
あの日の事を思い出す。
カァーッと顔が赤くなるのがわかった。
「全然大丈夫です!!元気です!!」
「それならよかった♪」
足立くんは変わらず優しくて、必ず連絡をくれる。
鈴原くんの時とは少し違う感じ。
付き合うってこういう感覚もあるんだな…。
「何してたの?」
「勉強してました」
「もう夏休みの宿題終わったんだっけ?」
「はい。足立くんは?」
他愛のない会話。
今の自分の状況をこんな風に伝える感覚もなんだか新鮮で、不思議な気持ち。
「あのさ、明日の夜空いてる?」
「明日ですか?はい、空いてますよ」
どうしたんだろう?
「近くで祭りがあるらしいんだけど…よかったら一緒に行かない?」
お祭り。
行きたい。
「はい。行きたいです」
「よかった。明日17時に迎えにいくよ」
「ありがとうございます」
足立くんと2人でお祭りかぁ。
なんだかデートみたいだなぁ。
—————————————
次の日。
「お祭り行くの?桜ちゃんたちと?」
「あっ、まぁそんな感じだよ」
「どっち?」
「はい?」
今日は仕事が休みのお母さん。
お祭りに行く事を伝えたら質問攻めにあってしまった。
「鈴原くんと足立くん!どっちと行くの?」
お母さん、ニタニタ笑ってる。
絶対言わないんだから!!
「桜ちゃんたちだって!」
「デートならやっぱり浴衣よねぇ。お母さん、張り切っちゃおうかしら♪」
全然私の話聞いてない…。
「何時に家出るの?」
「17時頃だよ」
「じゃあ今から浴衣買いに行きましょ!」
「へ!?」
お母さんに連れられて急遽買い物にくりだした。
「可愛いのがあってよかったわねぇ」
浴衣…。
張り切ってるって思われないかな…
なんだかちょっと恥ずかしい…
だけど
お母さんが一緒に選んでくれた浴衣。
正直、すごく嬉しい。
「似合うかな…?」
「当たり前でしょ!着付けして髪型もお母さんにさせてね♪」
「お正月に着物着てくれた時も嬉しかったけど、こうして夏も浴衣とか着てくれると嬉しいわぁ♪」
私がこうして出かけるようになったのは去年から。
みんなのおかげ。
「お母さん、ありがとう」
「とびっきり可愛くしましょ!デートなんだから」
「もう!違うってば!!」
お母さんに髪型をセットしてもらい、メイクして着付け。
お母さんってすごいな…。
「お母さん、なんでも出来るね」
「なに、急に」
「すごいなぁって思って」
「日和もお母さんになったら、出来るようになってるわよ」
そうなのかな…
まだ全然想像もつかない。
「よし出来た!!」
鏡を見て、浴衣姿にちょっと感動。
お祭り行くことも久々だし、浴衣なんて小学生以来だと思う。
「可愛いわよ、日和♡」
「ありがとう、お母さん」
時間は16:40
もうすぐ足立くんが来てくれる。
ガチャッ
「ただいまー」
あれ!?この声は!!
「わっ!なんで浴衣!?」
「ひなちゃん、おかえりー!早かったね」
夏休みでひなちゃんが帰ってきた。
「これからお祭り行くの」
「へぇー。誰と?」
「とっ友達と!!」
「……へぇ〜」
お母さんは私とひなちゃんのやり取りを聞いて、クスクス笑っている。