放課後の片想い
「すごい人…」
お祭りってこんなに人多いんだ。
久しぶり過ぎて驚きがたくさん。
「はぐれないようにちゃんと手握ってろよ」
「はい」
あっりんご飴だ。
「買おっか」
「はい」
足立くんが買ってくれた。
「日和、りんご飴好きなんだね」
「小学生の頃、一度お祭りに来たんですがその時友達が食べててすごく憧れたんです。私は違う物買ったりしてお小遣いが足りなくなって買えなかったんです」
「じゃあ、今日がりんご飴デビュー?」
「あはは!そうですね、デビューです♪」
りんご飴をかじる。
「お味はいかがですか?」
「おいひいです」
口がもごもごしてうまく喋れない。
「俺ももーらい♪」
足立くんが私の持っているりんご飴をかじった。
「久々に食ったけどうめーな」
「ですよね」
付き合ってすぐ、こんな風にデートが出来るなんて嬉しいなぁ。
「なに笑ってるの」
わっ!バレちゃった。
「なんでもないです」
「怪しい……」
ジーッと私を見る。
なにかを疑っているような目で。
「で…デートがこんな早く出来て嬉しいなぁって思っただけです……」
いざ言葉にすると恥ずかしい。
「ヤバイ…抱きしめたい」
ドキッ
「…でも我慢する」
あっ、我慢してくれた。
「スーパーボールすくいありますよ!やりましょう」
すごく楽しくてテンションは上がりっぱなし。
お祭りを楽しんで、少し時間が経った頃。
「わーーーん!!」
子どもの大きな泣き声。
小さな男の子がひとりで泣いている。
お母さんたちとはぐれたのかな!?
私は繋いでいた手を無意識に離し、その子の元へ向かった。
「あっ日和!!」
人混みをかき分けて、男の子がいる場所にたどり着いた。
「大丈夫!?お母さんやお父さんは?」
「うぅ。。いなくなったの。お父さん、どこか行っちゃったの」
完全に迷子だな。
「大丈夫だよ。一緒に探そう」
お祭りに迷子センター的なものとかあるのだろうか。
男の子と手を繋いでパッと周りを見ると、すごい人。
こんな中で見つけられるかな…。
ってあれ…
「足立くん…!?」
足立くんがいない。
私が走ってきたからはぐれちゃったんだ。
どうしよう…!!
「お姉ちゃん、どうしたの?」
心配そうに私を見上げる男の子。
今はまずこの子の親御さんを見つけなきゃ。
「ごめんね、探しに行こう」
どれぐらい歩いたかな?
15分以上は歩いてると思う。
でも全然見つからない。
「お父さん、どんなお洋服だったの?」
「えっとね、白い服だよ」
白…たくさんいすぎて余計パニックだ。
そういえば足立くんも白いTシャツだったな。。
足立くん…どこにいるの。
あっ、なんか泣きそう。。
ぎゅっ!!!
「頼むから心配かけないで」
後ろから聞こえる声。
「手離したらダメって言ったのに」
汗をかいて息が荒い足立くん。
「…ごめんなさい」
さっきまであった不安な気持ちが一瞬でなくなった。
「何もされてない?変な奴いなかった?」
「何もありませんよ!心配し過ぎです」
「するに決まってるじゃん」
足立くんが来てくれただけで、こんなに安心するんだ。
「お姉ちゃんの王子様?」
「えっ!?」
いきなり何という言葉を…!!??
「幼稚園でこの前マイちゃんに聞いたんだよ。優しい人にはかっこいい王子様がお城から迎えに来るよって言ってたよ」
かっ可愛い。。。
純粋な目で一生懸命お話してくれる。
「それ当たりだよ」
「わっ足立くん何言ってー…!!」
「このお姉ちゃんが助けてくれたのか?」
「うん!僕が泣いてたらお姉ちゃんが助けに来てくれて、お父さんを探してくれてるの」
「そっか。優しいお姉ちゃんだな」
足立くんは男の子の頭をポンポンと優しく撫でた。
「うん。だから王子様が迎えに来たんだね」
「そうだよ。優しくて大好きなお姫様だから、俺が迎えに来たよ」
ドキンッ!!!!
男の子の話に合わせてるだけなんだから!!
間に受けるな、私!!!
だけど、心臓はものすごい速さで鼓動を刻む。
「日和、この子のお父さん探しに行こう」
「…はい」
真ん中に男の子を挟んで、3人で手を繋いだ。