放課後の片想い
「リュウ〜〜!!!」
やはり迷子の受付があり、足立くんがそこまで連れて行ってくれて無事お父さんに会える事が出来た。
「足立くん、ありがとうございました」
「ううん。見つかってよかったな」
「はい。足立くんのおかげです」
「違うよ。日和のおかげだろ?」
「じゃあ2人のおかげにしましょっか」
足立くんはクスッと笑って
「バーカ」
と言った。
ズキンッ
慣れない下駄でずっと歩き回ったせいか靴擦れを起こしてしまっているっぽい。
我慢しなきゃ。
「…なぁ日和。足、痛くねーか?」
「そんな事ないです」
せっかくのお祭り。
心配かけたくない。
「そっか」
ふわっ
「えっ!!??」
いきなり身体が宙に浮いた。
「じゃあ、今からはこれで移動ね」
おっお姫様抱っこ…!!!!
「足立くん!降ろしてください!私重いし、恥ずかしいし!!」
「重くないよ。もっと食えって思うぐらい」
お姫様抱っこのせいで、足立くんと顔が近くてさらにドキドキする。
それに、すごい周りに見られてる。。。
「恥ずかしい…」
「いいじゃん。本当は今すぐキスしたいぐらいだよ」
ドキドキドキドキッ
心臓が忙しい。
「足立くん、バカバカバカ〜!!」
「だって日和に俺の愛情、少しずつ伝えていかなきゃだしさ♪」
「…全然少しずつじゃないです」
あはは!と笑う足立くん。
本当に王子様に見えた……なんて、本人には恥ずかし過ぎて言えないけど。
お祭りの人混みを抜けて、私の家へ向かう。
「もう歩けます」
「ダメダメ。もうすぐ家だしこのまま帰ろ」
足立くん、私に甘過ぎるよ。。
「母さんが、再来週帰ってくる事になった。面談もその時行ってくるわ」
そうなんだ。
「再来週って…まだ先ですね」
「今忙しいらしくてさ。父さんなんか冬まで帰ってこれないらしい」
足立くん、ひとりの時間が長い…。
「ウチでよかったら、いつでも来てくださいね?一緒にご飯食べましょう」
「ありがとう。マジで嬉しい」
私を抱っこしてくれている手にぎゅっと力を感じた。
「今度はどこ行きたい?」
「足立くんが前に言っていたパンケーキのお店行きたいです」
「覚えてたんだ。行こう」
あっという間に家の前に到着。
「ずっと抱っこ…してもらっててすみませんでした」
降ろしてもらった。
「全然♪」
もう、バイバイかぁ。
なんだろ、この気持ち。
寂しいのかな。
「日和の浴衣姿、しっかり目に焼き付けなきゃな」
「わっ!何バカな事言ってるんですか!!」
「だって可愛いんだから仕方ないじゃん」
足立くんはたくさん優しい言葉や甘い言葉をくれる。
その度に私の心臓はドキドキうるさい。
「じゃ、そろそろ行くな。今日はありがとう」
「私こそありがとうございました」
帰っちゃう。
「また連絡する」
「はい」
やだ
まだ帰らないで
「待ってー…!」
無意識に足立くんの腕を掴んで引き止めてしまっていた。
「日和?」
「あっえっと…ごめんなさい」
私ったら…迷惑かけてばっかり。
「またね、足立くん。気をつけて帰ってください」
「…やだ。帰りたくなくなった」
「そんなっ…!」
「日和のせい」
ドキンドキンッー
「足立くー…」
ガチャッ
「玄関前でうるさいんだけど」
空気を一変するひと言。
「ひなちゃん!」
「早く入れば?足立さん、気をつけて帰ってくださいね」
そう言いながら、ひなちゃんは私の手を引っ張る。
「日向が1番のライバルかもなぁ〜」
足立くんはそう言って笑っている。
「うるさいっす」
「また話そうぜ、日向」
ひなちゃんはプイッと足立くんを無視した。
「こら!ひなちゃん!ちゃんと返事しなきゃ!!」
「日和、いいから。じゃあ、またね」
足立くんは帰っていった。
まだ一緒にいたかったのに。
「日和、帰ってくんの遅い」
「…ひなちゃんなんか知らない!」
「はっ!?」
私は次の日の夜までひなちゃんを無視し続けた。
「日和、いい加減日向を許してあげて」
ひなちゃんはビックリするぐらいわかりやすい態度でいじけていた。
ダメだ…笑っちゃう。
「あはは!ひなちゃん、可愛いー!」
「マジ日和ウザくなった!!」
実は生まれて初めて?のプチ姉弟喧嘩(私が一方的に怒っていただけ)も経験した。