放課後の片想い

コンクール


2日後は鈴原くんが受けるコンクール。


なんだか、ソワソワする。
練習、大変だろうな。
ご飯食べてるかな?
ちゃんと寝てるかな?


おせっかいだろうけど、色々心配になる。



変わらず夏休み入ってから一度も連絡を取っていない。

私からしないし鈴原くんからもこない。





家の掃除をしながらそんな事を考える午後。



〜♪

メッセージを知らせる通知音。


今まではバイブ音にしかしていなかっけど、足立くんと付き合うようになってから音ありにする事が増えた。


出来るだけ、連絡に気づきたいし。



『明後日、永定ホールで14時からコンクールなんだけどよかったら聴きにきてほしい』


ドクンッ

鈴原くんからだった。



何故か、鼓動が少し速くなる。



聴きに…行きたい。

もちろん変な意味とかじゃなく、純粋に鈴原くんの演奏を聴きたい。
そして、応援したい。



だから…



プルルルルー…


「もしもし。どうしたの?」

「いきなりごめんなさい」

「なんで謝るの。電話嬉しいんだけど」


相手は足立くん。


「あの…実は」

「うん?」

「明後日鈴原くんのコンクールがあって…」

「うん」


良いよね?
応援に行きたいって言っても…



「その…えっと……」


私、なんでためらうの。



「悠の応援だろ?行ってやってよ」

「足立くん、その…」

「てか、俺が許可出すとか偉そうだよな。ごめん。応援しに行ってやって。悠、絶対喜ぶよ」


また、私は足立くんに気を遣わせてしまった。

自分の口から言うべき事なのに。



「ありがとう。あのね、足立くん一緒に行きませんか?」


「俺?なんつーか…いいのかな」


「いいに決まってます。親友のコンクールですよ」


そう、足立くんを誘いたかった。

もし私の事とかで…足立くんが気を遣って応援に行けないとか…絶対嫌だ。



「うん。行こっか」

「はい。ありがとうございます」



私は足立くんと電話を切って、鈴原くんに返事をした。


『連絡ありがとう。応援に行くね』


頑張ってね、鈴原くん。


そして、決めている事がある。



鈴原くんに、ちゃんと伝えるんだ。




—————————————

とうとう鈴原くんのコンクール当日。



「日和ー!元気だったー!?」

「桜ちゃん!!塾、忙しそうだね」


桜ちゃんと加藤くんも行ける事になり、4人で応援に行く事になった。


桜ちゃんは塾の夏期講習で忙しく、やっと会えた。



「もうすぐ時間だし、行こっか」

「はい」

足立くんに促され、会場に向かう。



「あっ日和危ない」

自転車がすごい勢いでやってきたのを、足立くんのおかげで避ける事が出来た。


「ごっごめんなさい。ありがとうございます」

「ほんとにいつまで敬語なの」


むにーって私の頬をつねりながら笑う足立くん。



「なかなか抜けません」

「日和らしくっていいっか!」



じーーーーーーっ


後ろから視線を感じる。



「えっと…桜ちゃん、どうかしたかな??」


私たちの後ろを歩く桜ちゃんと加藤くん。



「んー、絶対当たりやろうけどさ…付き合った?」


ドキーーーンッ!!!!


さっさすが桜ちゃん!!



もちろんちゃんと言うつもりだったけど、まずは鈴原くんに伝えてからと思って……


「あっあのね!えっとー…!!」



グイッ


私の肩を抱き寄せる足立くん。



「正解♪ちゃんとゆっくり言いたかったんだけど、よく気づいたね」


「やっぱり!?わかるよ!!舐めんといてや」

「あはは!さすがだよ、桜」



バチッと加藤くんと目が合った。


加藤くんはニコッと笑ってくれて
「おめでとう」と言ってくれた。


「ちょっとー!!足立、貴広と歩いて!私、日和と話したい事あるから!!」


貴広。。

2人が付き合っている事をより実感した。



「やだよー。日和と歩きたい」

「は?メンヘラ?キモイんやけど。はよどいて」


桜ちゃん…!!
怖い…!!!!!!
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