放課後の片想い

コンクールが終わり、あとは結果発表。


私たちは近くのカフェで鈴原くんからの連絡を待っていた。



ヴーーッ


足立くんのスマホが鳴った。


「悠だ」



鈴原くん!!
結果出たのかな!?




「もしもし?」

「うん、うん…」


緊張で心臓がヤバイ。
これ以上はもうもたないよ。



足立くんは私たちの方を見て、親指を立てグッとポーズをした。



予選、通ったんだ!!!!



「わかった。伝えとく。お前も休めよ」

そう言って電話を切った足立くん。



「悠、無事予選突破。今日はまだすぐは帰れないから先帰っててって。みんなありがとうって言ってたよ」


やったー!!!
鈴原くん、本当におめでとう!!!


「わー!!悠ヤバイー!!お祝いしなきゃー!!」

桜ちゃん、嬉し泣きしてる。
幼馴染みで、昔から応援してるもんね。



「またお祝い計画しようよ」

私らしからぬ発言。
自分からこう言う事を言えるようになったんだなぁ。



桜ちゃんたちと解散して、足立くんと帰る。



「悠、ほんとにすごかったな」

「はい。感動でいっぱいです」


ぎゅっ

足立くんが手を繋いでくれた。



「日和の家まで…いい?」

「もっもちろんです」


手を繋ぐだけでドキドキしちゃう。



「悠の演奏終わった後、日和感動し過ぎて泣いちゃってたもんね」

「あっはい…。感動もなんですが、鈴原くんの音に…」


足立くんの手を握る力が強くなった気がした。


「音が?なに??」


「えっと…私、鈴原くんが演奏した曲について調べていってたんです。その物語を考えてたら鈴原くんの音色がほんとにそれを物語っていて、というかそれ以上で…」


言葉に無意識に熱が入ってしまう。


「なにより、鈴原くんの音が大好きだなって改めて思いました」


「…そっか。悠、やっぱカッコいいよな」


「???」


そんな会話をしていると、もう家に着いてしまった。



もう、バイバイか…



「あの、お茶でもどうですか?」

「いきなり迷惑じゃない?おばさんたちにも」

「お母さんは仕事でまだ帰ってこないし、ひなちゃんはバスケに行ってます」

「…そうなんだ」

「もしよかったらですが…」


あんまり無理強いはよくないよね。


「じゃあ、上がらせて」


よかった!!


「はい!どうぞ」


足立くんと家に入る。


「暑かったですもんね。何飲みたいですか?」

「アイスコーヒーとかある?…これ……」

「え?」


冷蔵庫からドリンクを出しながら足立くんの方を見る。


足立くんが持っていたのは、クラシックアルバムだった。


「あっ!昨日聴いていたんです」

「日和、クラシック好きなんだ」

「えっと…そうですね。好きになりました」


話しながら私はグラスに氷を入れる。



アイスコーヒーとアイスカフェラテを作ってテーブルに置いた。


「お待たせしました…ひゃっ!!」



いきなり抱きしめられた。



「足立くん…!?」

「悠の影響で好きになったの?」

「え…?」

「クラシック」


……………
私さっき、無神経な事言っちゃった!?


「えっと…それは……‼︎」


「大切にしたくて…しばらくは絶対我慢するって決めてたけど……ごめん無理だわ」

!?

そう言って足立くんは私にキスをした。



長くて苦しくなりそうなキス。

一瞬唇が離れたと思ったら、またすぐにくっつく。



「ふぁっ…足立く……」


「ん…!!!」


足立くんの舌が入ってきた。


どんどん深くなるキス。


私は後ろにあったソファに倒れ込んでしまった。

それでも止まらないキス。


足立くん、どうしたの!?



どれぐらいキスをしてるんだろう。
頭がボーッとしてくるほど。



そっと唇が離れる。


「日和……」


あれ…
ボーッとして、うまく話せない。


次の瞬間、足立くんが私の耳を舐めた。


「きゃっ」

足立くんの息遣いが聞こえて、心臓がさらに鼓動を増す。


「や…あ…足立く…」


そしてまたキスをする。



怖いのに、辞めないでほしいって思ってる自分がいる。
足立くんの部屋の時と同じ。


だけど、あの時よりすごく激しくて私はどうする事も出来ない。
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