放課後の片想い

鈴原くんの言葉が頭から離れない。



【暗い冷たい場所に堕ちていく】


どうして、そんな悲しい事を言うの?

どうして、泣きそうな顔をしていたの?





ガラッ

また扉が開いた。


鈴原くん!?



「待たせてごめんな」

「足立くん…」



戻ってくるわけないか。



「帰ろっか?」

「はい」


結局、自分から足立くんと付き合った事をまだ話せてない。

きっと足立くんから聞いてるだろうけど。




私たちは図書館へ向かった。





———————————


2学期は受験一色になってきた。

私も帰りに本屋さんへ寄ったり自主勉強を増やしたり、学校と家の往復が増えた。


お昼ご飯は変わらず5人で食べて、足立くんとも登下校を一緒にしている。



そして気付けば10月も半ば。


早い子は来月から推薦入試が始まる。


カレンダーを見て感じる。
刻一刻と鈴原くんとの時間は減っていってるんだなぁと。


挨拶をしたりはするけど、必要以上に話さなくなった。



「なんか変やなぁ、日和たち」

「変??なにが?」

「悠と全然喋らへんやん。友達なんやろ?」


そう。桜ちゃんの言う通り私たちは“友達”。


「お互い意識して無視してんの?違和感しかないねんけど」


「そういうわけじゃ…」


ただ、始業式の放課後に話した以来まともに話せていない。


どう話しかけたらいいのかわからない。



「足立とはどうなん?」

「受験前だしね。足立くん、来月推薦受けるから忙しいかな。でも、登下校一緒にしてるし連絡も取ってるよ」


「そっか」


足立くんは本当に優しい。
私をすごく気にかけてくれていて、私はその優しさにちゃんと応えられているのか心配になる。


「桜ちゃんも来月入試だよね?」

「せやねん。追い込みやでー。頑張らなきゃやわ」


加藤くんと私は国公立を受ける予定なので、年明けだ。





「そういえば、悠のコンクール本選来月やで」

「そうなんだ」


知らなかった。


「聞いてへんかったん?」

「うん…」


完全に避けられてるよね。
仕方ない。



「日和。私次の授業お腹痛くなるから」

「え!?」


そう言って席を立った桜ちゃんは、鈴原くんの方へ向かった。


足立くんと喋っていた鈴原くんが桜ちゃんの方を見る。


「どうしたん?」

「悠、ちょっと顔かして」

「は?もうすぐじゅぎょ…っおわっ!!」

「足立!悠、腹痛凄いから保健室行ってくるわ」

「はいは〜い」



鈴原くんの腕を引っ張り教室から出ていった。


なんで足立くん、冷静なの!?


「悠たちお腹痛いんだって」

「…信じてないですよね…?」

絶対信じてるわけない。


「心配してるよ〜♪」


嘘だ。



何が何だかわからないけど、ひとまず先生に嘘をつかなければ!!
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