放課後の片想い

ほんとうの気持ち


「いよいよ明日が入試ですね!」

「入試と言っても小論文と面談だけだし、何も気負いないよ」

「いえ!油断は禁物です!」



元気をつける?為と言う事で、夜ご飯をウチで食べてもらっている。


「足立くん、頑張ってね。結果出たらウチでお祝いしましょう」

「いつもありがとうございます」



〜♪

お母さんのスマホが鳴った。



「はい、お疲れ様です。ーーーはい…」


仕事の電話だな。



「食事中にごめんね!ちょっとやる事出来たから、部屋に行くわ」


「うん。ラップかけておくね。頑張ってね」



お母さんはここのところ、特に仕事が忙しい。




「あのさ」

「はい?」


「日和の入試も無事終わったら、旅行でも行かない?」



ガチャンッ!!


驚いて持っていた食器をシンクに落としてしまった。



「ごめん。大丈夫?」

「はっはい!」


旅行。。


「桜ちゃんたちも誘ってみんなで、楽しそうですね」


何焦ってんの、私。
みんなでに決まってるじゃん。



「いや、2人でのつもりなんだけど」


ドキッ!!!



すごい心臓がドキドキしてる。

なに、このドキドキはーー…



「嫌…?」


気付けば隣に来てた足立くん。


「えっとーー…」

戸惑う。



フーッと小さく息を吐いた足立くん。

ため息!?
呆れちゃった!?



ポンッ
私の頭に手を乗せた。


「ごめん、困らせて。調子乗った。忘れて♪」


いつもの優しい笑顔で私に言う。



あぁ、私

いつまでこんな無理した笑顔をさせてしまうの。


あなたの本当の笑顔は

私の大好きな笑顔はーーー…




「ちっ違いますよ!」

私は緊張すると、大声になりやすいらしい。



「困ってなんかいません!ちょっと…緊張しただけです…!」


「緊張?」


もう!!

わかってよ!!



「ふっ2人って言うから…ドキドキしちゃったの!!」




しーーーーーーん





沈黙。



嘘やん

あ、私ツッコミうまくなってる。



って、そんなのどうでもよくて!!
(最近キャラが安定しない自分に戸惑ってしまう)



私の言った事に引いちゃったかな…

怖いけど、恐る恐る顔を上げる。




ドキンッ!!!


鼓動はさらに速くなる。



そこには顔を真っ赤にした足立くんが。



「わ…!顔あげるとか…!!卑怯!!」


「ひ…きょう…?」


あれ?なんだかすごく



「えへへ!!」


私は背伸びをして足立くんの頭を撫でた。


「足立くん、なんだか可愛いです!!」


なんだろう、この気持ちは。

心がすごくポカポカする。



「ばっバカ!!やめ…」
「えへへーー!!」

私は調子に乗ってさらに頭を撫でる。



グイッ


「ったく…俺がどんなけ我慢してると思って…!」


撫でてた腕を引っ張られて、あっという間に足立くんに抱きしめられる。



「襲ってほしいの?」


わわわわ!!!


「何言ってー…!!んっ!!」



さっきまでとは形勢逆転。


私の心臓はさらにドキドキを増し、足立くんに逆らえない。


不意をつかれたキスも、こんなに優しく温かく感じるのはどうしてなんだろう。




「調子に乗った罰」



あっ、やっと見れた。



「よかった…」


「なにが?」


「足立くんの笑顔、見れたから」


あぁ、足立くんの笑顔はやっぱり私に元気をくれる魔法みたいだな。




「…!期待させちゃダメだよ」


そう言って足立くんは私の頬にキスをした。



期待…?


「それってどういう…」


「なぁ日和、面談の最終練習付き合ってー」


「はっはい!!」



私はさっきの言葉の真意をまだ知らずにいた。
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