放課後の片想い

『明日の終業式の後ならいけるよ』


足立くんからの返信。


これ…夢じゃないよね!?


あれから話をしたいって送っても全く返信がなかった。




『お願いします!』


送ってから思った。


なんだ、お願いしますって。。


急いで送ってしまったから変な内容になってしまった。



それでも!!

やっと話せるチャンスが出来た。



ちゃんと伝えなきゃ。


もう前の関係には戻れなくても、ちゃんと伝えるんだ。





———————

終業式が終わった。


勇気を出して、荷物をまとめている足立くんの元へ行く。



「い…」


あっ、ヤバイ。すごく緊張する。


足立くんと目が合った。



「一緒に帰ってくだしゃい!」



・・・・・・



噛んだ。。。



「あはは!」


足立くんが急に笑いだした。



「そこで噛む?まぁ日和らしいか」

名前を呼んでもらえるだけでこんなに嬉しいんだ。




「じゃーな。彗、日和」


鈴原くん!!


「あっ、またね…」


バカ、私。
鈴原くん、普通に声かけてくれたのに何私がぎこちなくしてるんだ。



「あぁ、悠またね〜」


足立くんと鈴原くんはいつも通りな感じでホッとした。


喧嘩とかしてないよね。




「どこで話す?」


「あっ、どこでも…」


「駅前のカフェでも行く?」

「うん!!」


足立くんと話せるなら、どこでも!!




カフェまでの道、意外と足立くんは色々普通に喋ってくれた。


それだけでこんなにも嬉しい。




カフェに着いた。

周りの学校も終業式だったのか、学生がいっぱい。



「あの人かっこいいー」


さすが足立くん。

早速周りから黄色い声が。




「日和何頼む?」

「えっと、ホットミルクティーを」

「珍しいね、ミルクティーって」

「寒くなると飲みたくなるんです」

「へぇ〜」


それは、私の好きなアイスティーを思い出してくれたって事?


勝手に喜んでる私。





席に座って、しばらく続く沈黙。



私から誘ったくせに!!
早く話さなきゃ。



「もうすぐクリスマスだな」

窓の外の景色を見て、足立くんが言った。



そう、明後日はクリスマスイヴ。



10分でも会いたいって言ってくれてたよね…?

今度は私からお願いしてもいいですか…?




「足立くん…クリスマス私と会ってくれませんか?」


もう、だめ元だ。


断れるだろうけど、いいんだ。

当たって砕けるんだ。



「へ…?」


「10秒でもいいです。会ってほしいんです」


「俺と…?」

「そうです」


しばらく黙る足立くん。



「悠と会わないの?」

「え、なんで鈴原くん…?」


「なんでって…」


「会ってもらえませんか?」


よし、言うんだ。

私の気持ちを。



「それはーー…」

「あの、足立くん」


またフラれるだろうけど、この気持ちだけは言わせてください。



「私、足立くんが好きです。今更こんな事言われても迷惑だろうけど…どうしても伝えたくて…」


あ、手が震える。
緊張してるんだな、私。



「自分の気持ちに気づくのが遅くて、足立くんをたくさん傷つけてしまってほんとにごめんなさい。私の中で足立くんがこんなに大きくなってて、大切で、そばにいさせてほしいって思う存在だってやっと気づけたんです」



「たくさん甘えてしまってごめんなさい」


もう、目を逸らさない。



「足立くん、大好きです。もう…足立くんは私に嫌気さしてるだろうけど、気持ちだけは伝えたくて。最後の私のわがままです」


そう、私のわがまま。



「今日は時間を作ってくれてありがとうございました」


私、笑えてる。


せめて、大好きな人の目に映る最後の私は笑顔であってほしい。




ずっと黙ってる足立くん。



こんな話、困らせるだけだよね。



「困らせてごめんなさい。返事を聞きたいとかじゃないから安心してくださいね。ただ、私の気持ちを伝えたかっただけなんです」



私は居づらくなり、席を立とうとした。



「じゃ、私はこれで…」


「本気で言ってるの?」


やっと聞こえた足立くんの声。



「え?」


「今の言葉は本気なの?」



ジッと私を見る目。

それだけでドキドキしてしまう。



「本気だよ。足立くんが大好きなんです。誰よりも」



もう、あなたの目に私が映らないとしてもいいの。
それでも大好きなの。



すごくすごく大好きなの。



「私…もう一度足立くんに振り向いてもらえるように頑張って…ひゃっ!」


気づけば、足立くんに抱きしめられている私。



そんな私たちを見てざわついている周り。



「足立くん!?どうしましたか!?」


ドキドキも最高潮で心臓がもたない。




「バカ日和」


そう言って私の手を引き、カフェを後にした。





少し歩いた先にある路地にやってきた。



「ここなら人来ない」


「足立くん…!?」


狭い路地で、足立くんと向かい合う。


顔も近くて、恥ずかしくて目を逸らしてしまう。



「日和、こっち見てよ」


「えっと…なんだか恥ずかしくて……」


グイッ

顎を持ち上げられ、足立くんと目が合った。



「俺を見て」


ドキドキが止まらない。



なんで


「なんで…こんな事するの……?」


「日和のせいだよ。俺の覚悟を鈍らせる」


「覚悟…?」


「日和と悠の幸せを受け入れる覚悟」


私と鈴原くんの幸せ…?、



「なのに…さっきの言葉はなに?」


「え…」


「もっかい言って?」


改めて言われると恥ずかしい。


「そ…れは……」


「聞かせて」


ほら、私
足立くんにちゃんと気持ち伝えるんでしょ。



「お願い、日和」


「…足立くんが」


「うん」


「足立くんが大好きです。誰よりも1番大好きだから」



次の瞬間、唇に何かが触れた。



ううん、何かじゃない


足立くんがキスしてくれている。




「ほんとに?」


「はい」


長いキスで息が荒くなる。




「悠…とは?」


「ちゃんと言いました。私は…鈴原くんの事好きだけど、それは友達としての大好きなんだってわかったから」


そう。


「恋として大好きなのは足立くんなんです」


ずっとあなたが、頭から離れなかった。



「足立くんと話せなかったり連絡取れなかった間…ずっとずっと足立くんの事ばかり考えてました」


寂しくて悲しくて


「足立くんがいない日が辛過ぎて……もう一度抱きしめて欲しかった」


一度溢れだしたら止まらない。


あなたに伝えずにはいられない。



「足立くん、今更って思われるだろうけど私はあなたが大好きです」



ぎゅっ!!


私、、今足立くんに抱きしめられている。




「夢じゃないんよな?」


力がより強くなる。



私は自分の頬をつねりながら



「痛いから夢じゃないですよ」

と答えた。



「可愛すぎ」


そう言って足立くんは、またキスをくれた。



どうしてーー


「足立くん…どうして……」


「俺が日和を嫌いになれるわけないじゃん…どんなけ我慢して……必死で言ったと思ってんの」



私を抱きしめる腕が、声が少し震えてる気がした。



「俺が2人の邪魔をしてるってずっと思ってた。俺が離れなきゃって」


足立くん…。



「ううん、違うんです。私がずっと曖昧な態度を取ってしまってたんです。ほんとにごめんなさい」



あなたを苦しめていた。




「こんな私だけど…一緒にいてほしいんです」


気持ちを伝えるだけでいいなんて、嘘。

本当はこうしてまた、あなたに抱きしめてほしかった。



あなたのそばにいたかった。


どこまでも欲張りな私。





「もう…離してあげないよ?」


「それは私のセリフです」



お互いニコッと笑って、もう一度キスをした。




「大好き、日和」
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