放課後の片想い
明日への一歩
年末年始は受験生には関係なく、勉強づくし。
そして年明けに迎えた共通テストをなんとかくぐり抜け、迎えた今日。
とうとうやってきた入試日。
「日和、忘れ物ない?受験票は?筆記用具は?あっ!お守りは?」
「大丈夫だよ、全部持ってるよ」
心配性なお母さん。
「いつも通り、気楽にやってきなさい」
「うん、行ってきます」
ドアを開けると
「おはよう」
そこには足立くんの姿が。
「送るよ」
「ありがとうございます」
寒さで耳がツンとなる。
「何時ぐらいに終わりそう?」
「たぶん午後までには終わると思います」
「迎えに行くし、一緒に帰ろ?」
「うん!ありがとうございます」
愛しい人と手を繋いで向かう、受験会場の大学。
電車を乗り継いでやっと着いた。
「頑張れよ、応援してる」
「はい。行ってきます」
あっ
「そうだ!」
私は制服のポケットに手を入れた。
「ちゃんと持ってますよ♪これがあるから絶対大丈夫」
足立くんが初詣で買ってくれたお守り。
私は勉強で行けなかったけど、買ってきてくれていた。
「バーカ。早く行ってこい」
照れてるのか、顔が赤い。
「えへへ。行ってきます!」
私は試験の部屋へ向かった。
ヴーッ
スマホの電源を切ろうとしたら、メッセージを受信した。
ドキッ
『試験頑張れよ。フランスから応援してる』
鈴原くん…
鈴原くんも試験があり、2日前からフランスにいる。
時差もあるのに…覚えててくれたんだ。
『ありがとう。頑張るね!鈴原くんもファイトだよ』
遠い異国の地で頑張っている鈴原くん。
やっぱり、尊敬せずにはいられない。
どうか、彼の夢が叶いますように。
祈らずにはいられない。
さぁ、始まる。
私も夢を追いかけるんだ。