【完】生贄少女は冷酷暴君に甘く激しく求愛されて
*
ビルに着くなり、私は寝室のベッドに押し倒された。
ぼふん、とベッドが跳ね上がる。
「こはく、くん……っ」
私を組敷く琥珀くんの瞳は仄暗い。
いつも私を見つめる瞳には優しさが潜んでいたんだって、こんな時に気づかされてしまう。
「あいつになにされた?」
低く、波のない声が耳朶を打つ。
その声には心配や苛立ち、焦燥など幾重もの感情が押し込められていて。