【完】生贄少女は冷酷暴君に甘く激しく求愛されて


「傷つくことに慣れようとしなくていい」

「……っ」


心をかちこちに固めていた鎖が、音をたてて崩れていく。


じわりじわりと目の奥を刺激する熱は、図星の証拠。


いつからだろう。

平気なつもりで本心に蓋をして、いつの間にか限界を超えていたのは。


なんで私の心を見つけてくれるの……?

私でさえ、自分の心を見失っていたのに。


「消毒しような」


涙をこらえる私の首筋に、そっとキスを落とす琥珀くん。


「ん……っ」


びくっと身体が反射的に揺れて、押し出されるようにして涙が一筋こぼれ落ちた。

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