【完】生贄少女は冷酷暴君に甘く激しく求愛されて
その言葉が、火に油を注いだのは誰の目にも明らかだった。
「偉そうにっ」
小林さんはそう怒鳴ると、隣の女子に「ん!」となにかを要求した。
そして隣の女子が差し出したのは、なみなみ水が注がれたバケツ。
あ……まずい。
そう思ってももう遅い。
小林さんが私に向かってバケツを勢いよく向ける。
そこから大量の水が私に向かって放たれた。
ぶつかる冷たい衝撃に、思わず目をつむって構える――けれど、いつまで経っても水が降りかかってくることはなくて。