【完】生贄少女は冷酷暴君に甘く激しく求愛されて
*
「もう、ばか……。私の代わりに水を被るなんて」
保健室で、私は太陽の髪をバスタオルでわしゃわしゃと拭く。
さっぱりと短く切られた髪は、すぐに乾き始めた。
丸椅子に腰掛け、私にされるがままの太陽は、まるで大型犬のよう。
私の力のこもっていない八つ当たりに、太陽がバスタオルの隙間から真っ直ぐに見上げてくる。
「だって、こうしなきゃ莉羽がびしょ濡れになってただろ」
「そ、それは……」
「はは、相変わらずツンデレなところも照れ屋なところも変わってないな」
「なっぁ……ぅう……っ」
爽やかを体現したような笑顔を向けられ、思わず目がくらむ。
うう、眩しい……。