【完】生贄少女は冷酷暴君に甘く激しく求愛されて
「ずっと会いたかったよ、莉羽」
手を握られ、まっすぐに見上げられれば、私にはもう逃げ場がなかった。
ふいっと視線を逸らし、鼓動の音を散らす。
「会いたかったのは……私も、だよ」
唯一の幼なじみが外国に旅立ち、私の心にはずっとぽっかりと大きな穴が開いたようだった。
すると太陽が嬉しそうに屈託なく笑う。
「はは、嬉しいな。明日から正式に復学なんだ。よろしくな、莉羽」
太陽、変わってないなぁ。
こういう素直に自分の思いを伝えられるところ、尊敬するしいいなって思う。
私はどちらかというとつい強がってしまう性格だから。
「よろしく、太陽」
その言葉を口にしながら、ああ、本当に太陽が帰ってきたんだなぁって実感する。
すると太陽は、私の目をまっすぐに見つめたまま。
「それで帰国早々悪いんだけど、莉羽にひとつお願いがあるんだ」
今度は子犬のような瞳で。
「今週の金曜、パーティーがあるんだけど、そこで婚約者として紹介してもいいかな」
あまりに思いがけないことを口にした。